4月27日、連邦上院常設調査小委員会の公聴会に現れたゴールドマンサックスのロイド・ブランクファインCEOは、カール・レビン委員長からこう言い放たれた。

「ゴールドマンの行為というのは投資家を大切な顧客と見なさないで、自分たちの利益の手段にしていることがわかります」

「顧客の利益に反するようなことは一切していません。むしろ株主が直面するであろうリスクを回避することに全力を注いでいます」

政府側と会社側の意見はまったくかみ合わなかった。

それは議会でのやりとりだが、結局SECはゴールドマンサックスの訴追を諦める。本来であれば、SECは断固として戦うべきなのだろうが、現実的な訴訟の難しさがあった。

最大の理由は政府側に膨大な訴訟費用がのしかかることだった。数百億円では済まないかもしれない。多額の税金を投入してまでゴールドマンサックスを糾弾すべきなのかとの強い疑念があり、和解金を支払わせた方がいいとの流れに傾いた。いわば司法取引である。結果的にはゴールドマンサックスの強大さが秀でた事例だった。

リーマンショック後、アメリカ政府は危機に陥った金融機関を救済するため、多額の支援を行った。ゴールドマンサックスもその中の一企業だった。

 


 

2008年末までに、財務省は大手金融機関に「不良資産救済プログラム(TARP)」予算を注入した。ゴールドマンサックスには100億ドル(約9000億円)を入れた。にもかかわらず、09年9月までにゴールドマン・サックスは社員のボーナス支給額として167億ドル(約1兆5000億円)を確保していた。これはゴールドマンの社員一人あたりが約52万ドル(約4680万円)のボーナスを受け取る計算になる。彼らは高額なボーナスさえ手にできれば、いや手にするからこそ、高いリスクをとる手法を辞められない体質が染み付いているかのようである。(中略)

それにより、政府から国民の税金を授けられて命拾いした企業は、みずから襟をただして堅実な経営へと転化するかに思われた。複雑化した金融商品を売りまくり、稼げる限りのことをする利益優先型の経営手法がいよいよ改めされる時がくると期待された。ニューヨークとワシントンで取材するまでは、彼らの自浄作用が機能していると期待したが、事実は違った。

 


 

現在、ゴールドマンサックスはワシントンに12人のロビイストを送り込んでいる。それだけではない。ルービン、ポールソン両財務長官と同じように、ティモシー・ガイトナー財務長官の主席補佐官もゴールドマサックス出身、マーク・パターソン氏である。昔も今も固い絆に変化はない。それは民主・共和という政党をまたいだ現象である。

最後に知人のアメリカ政府関係者が匿名を条件に寄せたコメントをご紹介しておく。

 


 

政府と金融はいままで以上にがっちりと手を取り合うようになっているのです。特に、これまでワシントンに見向きもしなかったウォール街の金融マンがワシントン詣でをするようになりました。シティグループだけでなく、ニューヨークの金融機関はワシントンに政府渉外を目的とした事務所を開きはじめました。というのも、巨額な取引をする時に連邦政府の関与なしには成立しない状況が生じているからです。ある意味でワシントンは『新ウォール街』といえるかもしれません。