農業のフレームワークが大変革していく

――御社は、突きつめれば、経験主義的な農業を、ノウハウの確立によってチェーン展開する。そういう方向に進んでいると、とらえていいでしょうか。

舞台ファーム本社前にて

【針生】ビッグデータ、ICTを駆使して、日照時間、降水量、水温、あるいはハウスの温度管理をしっかりやって、スマートアグリを採り入れることは、とても大切だと思います。ただし、農業を実践している方がICTをまったく理解できていない。だから植物工場とか、密閉工場の農業が最新だと錯覚し、それをさらに効率的に、また最大限に活用するまでには至っていないと考えます。僕らは、人工知能も含めたさまざまなチャネルを通して、しっかり研鑽を積んでいこうと思っています。

――TPPに象徴されるようにグローバル化の波も打ち寄せています。

【針生】農家は、インポーター・エクスポーター事業ができないんですね。アジア諸国、ASEANのなかでコメ作りとか、ODAと連動してインドネシアやベトナムでコメを作っていますが、行く人が英語も喋れない。現地語もビジネス用語も契約書の作り方もわからない。そういう農家が行って、帰ってくる。僕の十数年前と同じです。行ったけど上手くいかなかったって。花火は上がるけど、ビジネスモデルにはなかなかなりにくい。インポーター・エクスポーター部門を持っているパートナーとどう組むかです。

――最後に、農業は大変革の時を迎えていますね。

【針生】そうですね。ですから、こうした日本の大きな農業課題を受けたわれわれが、チャレンジャーになる決意をしています。農業ベンチャーとして挑戦していきたい。ただ、ベンチャーだけの域に終わるんじゃなくて、農業のフレームをまったく変えていく存在になる。

全部われわれが取り込むのではなく、このモデルを皆さんにお示しして、それが波状的に広がっていくのが理想です。独占するのではなく、多くの成功事例をどんどんつくっていただいて、地産地消の中でそれが広がっていく形だといい。そのためにも、医療でもコンビニでも、何でも日本のナンバーワンと積極的に取り組んでいきたいですね。

(舞台ファーム完)

(大和田悠一(有限責任監査法人トーマツ)=聞き手 山岡淳一郎=文・構成 尾崎三朗=撮影)
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