ファミリーマート × フランクリン・コヴィー・ジャパン

『7つの習慣』がベースの研修を実践

(左)
杉浦 真 MAKOTO SUGIURA
株式会社ファミリーマート 上席執行役員 管理本部総務人事部長
1986年、ファミリーマート入社。スーパーバイザー、エリアマネジャー、店舗開発・運営の責任者である統括部長を歴任。2008年、総務人事部長。10年、執行役員、13年より現職。人事諸制度改革などに従事。
●行動力と思考力で自ら変化を生み出せる人材が求められている

(右)
ブライアン・マーティーニ BRIAN MARTINI
フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社 代表取締役社長
1994年、ブリガム・ヤング大学で日本語学学士号を取得。日系IT企業を経て、98年同大学でMBA(経営学修士)を取得後、コンサルタントとして外資系企業でアジア各国の研修を担当する。2008年より現職。
●パラダイムを転換することで行動、考え方が変わってくる

OJTでは習得できないものの見方を身に付ける

【マーティーニ】28年前に初めて来日した時、日本のコンビニエンスストアの便利さと普及ぶりに驚きました。そして現在も、世界でこの業界をリードしているのは日本だと感じています。貴社は海外展開も積極的に行っていますが、競争も激化するなかで、リーダーに必要な資質についてどうお考えですか。

【杉浦】当社では、社員一人一人が自ら「感じ」「気づき」「行動する」闊達な企業風土づくりを目指しています。今年9月にはユニーグループ・ホールディングス(株)との経営統合を控え、またグローバル展開もさらに進むなか、競合他社との差別化を進めていくには、行動力と思考力によって課題の本質に迫り、自ら変化を生み出す力が欠かせません。さらにチームの力を引き出すには、リーダーが周囲から信頼され、部下を成長させることも大切でしょう。当社ではそうした資質を備え、人格と能力のバランスがとれた、内面的な強さを持つリーダーを育てていきたいと考えています。成功の哲学をまとめたベストセラー『完訳7つの習慣 人格主義の回復』に基づく貴社の研修を、マネジャークラスを対象に導入した理由もそこにあります。

【マーティーニ】当社の研修では、パラダイムシフト、つまり視点を変えることによって、より生産的で効果的な行動、考え方ができるよう変化を促します。例えば第1の習慣「主体的である」は、どんな環境でも成果を上げるための基本といえるでしょう。

【杉浦】先ほど挙げた「自ら『感じ』『気づき』『行動する』」に欠かせないものですね。もう一つ印象的だったのは、第4の習慣「Win-Winを考える」です。当社も基本理念で「CO-GROWING」を掲げており、ここでも共通するものを感じました。この姿勢は経営統合による規模拡大や海外展開でも重要になるはずです。

【マーティーニ】実りある関係を築くには、まず相手の立場を理解しようとする姿勢が重要ですから、「Win-Win」の関係は協働相手とのシナジーを発揮するための大前提といえます。

【杉浦】そうした考え方を、リーダーの基本としてぜひ身に付けてもらい、社内の共通言語としていきたい。個別のスキルや技術はOJTでも習得できますが、通常の業務のなかで、ものの見方を土台から変えるのは困難です。そこで全部門のマネジャークラスを対象に、長期的視点に立って、複数年の研修をお願いすることにしました。

他社が真似できない企業文化として根づかせる

【マーティーニ】研修を設計するにあたって、まずは貴社の各部署へ入念なヒアリングを行いました。そこで課題や要望として挙がったのが、リーダーとしてのあり方を意識すること、部下の力を引き出すこと、問題の本質を把握することなどです。そこで1年目は受講者のマインドセットの変革を促すプログラム、2年目は組織で成果を出すためのリーダーシップ実践のプログラムを提案し、物事を高い視座でとらえながら、メンバーとの強い信頼関係のもとで継続的に成果を出していけるリーダーの育成を目指しました。

【杉浦】リーダーとしての基礎をしっかりと固め、自分のなかにぶれない軸をつくる。そうした意識改革に取り組む上で、自社の状況に合わせたカスタマイズをしてもらえるのがいいですね。研修の中身も一方的な講義ばかりでなく、ビジネスなどの場面で「習慣」をどう実践するのか、具体例をビデオで見ながら討論するといったワークが随所に取り入れられています。参加者が自分の課題に置き換え、他者の意見にも学びながら理解を深められると感じました。

【マーティーニ】研修では各「習慣」の解説はもちろん、それを生かす上で役立つ、人の話を傾聴するテクニックなどもお伝えします。ただ、そうしたテクニックは人格というベースがあってこそ生きるもの。人格と能力を兼ね備え、自分の力で本質をつかみ、解決策を見いだせる人材を育てたいという考えをもともとお持ちだったことが、当社を評価いただけた理由だと考えています。

【杉浦】研修参加者からは「大変ためになった」「部長にもぜひ受けてもらいたい」という声が多数届きました。そこで3年目にあたる今年は、「部下の育成」をテーマにマネジャークラスへの研修を継続するとともに、部長職を対象とした研修、新入社員への研修、全国の希望者に向けた公募制の研修なども実施してもらっています。こうした意識改革はじっくり取り組むことが何より大切ですから、さまざまな階層で継続し、当社独自の企業文化として根づかせていきたいですね。

【マーティーニ】経営戦略や運営方法は他社も真似できますが、企業文化を真似するのは非常に難しく、競争に勝ち残れる究極の強みです。そうしたファミリーマートさんの取り組みをお手伝いできることを大変うれしく思います。本日はありがとうございました。

 

Corporate Profile
株式会社ファミリーマート
世界7カ国・地域で約1万7000店舗を展開する。本年9月にユニーグループ・ホールディングス(株)と統合予定。

フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社
世界的ベストセラー『7つの習慣』などに基づく実践的な研修を150カ国で展開する企業の日本法人。本社は米国。