雇均法が整備された第1フェーズ、育休や時短制度など女性に優しい環境が整えられた第2フェーズ。そして、男女双方の働き方改革である第3フェーズへと時代は動き始めているのです。

意思決定に加わる“数だけでない”女性管理職を

KDDI
移動通信・固定通信の両方を提供する総合通信事業会社。個人向けには「au」ブランドから携帯電話や固定通信事業を展開。「じぶん銀行」「au損保」など新規事業にも取り組む。1984年創業。本社は東京(千代田区)。
従業員数:1万671人、うち女性2083人(2015年3月末時点)

KDDIは2000年にDDI、KDD、IDOが合併して誕生。以降も多くの会社と合併し、いわば出身会社も企業文化も違う“多様な社員”が集まった会社。「私の出身会社には女性の管理職はゼロ。それが普通で何の違和感もありませんでした。KDDIには女性の管理職がいるので驚きましたが、それでも50人以下でした」

こう語るのは総務・人事本部人事部の間瀬英世ダイバーシティ推進室室長。同社は05年、小野寺正会長が社長時代に女性活躍支援のメッセージを全社に発信。仕事と家庭の両立支援策の充実や在宅勤務などの働き方改革の取り組みがスタートした。

女性管理職候補約200人と1人ずつ話したというダイバーシティ推進室の間瀬英世室長。

08年4月に女性活躍推進の専門組織として人事部内にダイバーシティ推進室を設置。その後、ダイバーシティ推進を、企業理念にあたるKDDIフィロソフィに明文化し、本格的な取り組みを開始した。12年度には「15年度までに組織のリーダー職で人事評価権限を持つ女性ライン長を90人(7%)にする」という目標を掲げ、女性リーダーの育成・登用に乗り出した。ライン長にこだわるのは「会社の意思決定の場に女性を参画させるのが経営者の思い。女性の管理職数だけ増えても会社は変わらない」(間瀬室長)からだ。

すでに11年度初めに29人だったライン長は14年度末に74人と2倍以上に増加。女性管理職数は177人。最終年度である16年3月末までのライン長90人の目標は見えてきている。また、近年では生え抜きの女性役員をはじめ部長など上位職の幹部も増えている。

活躍を推進するために様々な活動を展開している。その一つが07年から継続している女性管理職登用を目的とする社長直轄の社内横断プロジェクト「Win-K」。女性ライン長6人がメンバーとなり、管理職候補者や新任ライン長との懇親会やオリエンテーションを通じ、問題解決や社内ネットワークづくりのアドバイスを実施している。

12年度からは「女性ライン長登用プログラム(LIP)」をスタート。ライン長候補者を本部長推薦で選抜。個人の育成プランに基づいた現場指導のほか、リーダーになるためのマインドセット、財務諸表の読み方など年5回の研修やネットワークの構築など複合的プログラムを受講する。

研修の最後に自社の経営課題をテーマにチームごとに副社長、総務・人事本部長にプレゼン。優秀チームは社長にプレゼンする機会を与えられる。