消費者や取引相手と共生的な価値をつくるにはどうすればよいか。筆者は、市場のプロセスをマネジメントする方法論を紹介する。

計画制御のマーケティング・マネジメント

2つのマネジメント・スタイルの可能性を明らかにする。

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第1のマネジメントは、マーケティング諸活動を統整するための計画および工程表の作成である。これは、マーケティング・マネジメントそのものだ。加えてもう1つ、市場のプロセスをマネジメントするスタイルがある。消費者ないしは取引相手との「相互行為の場のマネジメント」である。まず、両者の違いを図1にまとめておこう。

言われるところのマーケティング・マネジメントは、マーケティング諸活動を統一調整すべく計画を立て、それらが実行された後、計画と実行結果とのギャップをチェックし、必要であればその計画を改定し新たな計画を立てるという形のマネジメントである。つまり、PDC(プラン・ドゥ・チェック)のサイクルで制御するやり方(計画制御)だ。

マーケターの仕事は、マーケティング諸活動を統整する計画・工程表を作ること、そしてしばらく時間を置いて、その計画と工程がどれだけうまくいったかをチェックして、計画(ないしは工程表)を改定するかどうかを決めることだ。断続的な判断になる。一方、顧客(消費者や取引相手)は、マーケターから見れば、働きかけ、認知なり理解なり態度なりを変える対象でしかない。

このマネジメント・スタイルが通用するのは、比較的安定した環境で、計画や工程にあまり狂いがない、あったとしても微調整で済むような環境だ。計画を改定するのが常態だとか、当初の予想を遥かに超えるような計画/実績のギャップが生まれるとか、あるいは計画期間中に予想外の大きい変化が生じているとなると、計画制御スタイルも考え直さないといけない。