臨床心理士の矢幡洋さんが解説する。

「仕切り屋で姉御肌。そして、何かカチンとくるとドSな一面を見せるパーソナリティの女性は企業に少なくありません。あまりよく思っていない部下との会話では、相手の真意を聞こうともせず、『どうせ私の提案に反対なんでしょ』と。エスカレートすると、その部下を仲間外れにする。声を荒らげるのではなく、そういう冷淡な方法で制裁を加え、攻撃してきます。一般的に、女性は対決姿勢を明確にして戦いたがる男性に比べ、相手に配慮して居心地をよくしてあげようとするような心理が優位に働くものなのですが、それがごっそり欠落することがあります」

日本の企業は、男社会。そんな中、出世した女性は、「男にナメられない」ことを念頭に置き、自分を強く見せようとするところがあるのだろうか。

「競争社会を勝ち抜いてきた自負心があるがゆえ、敵と思われる人物や、すぐに弱音を吐くような部下は男であろうと女であろうと許さない。そんな思想が背景にある」(矢幡さん)

部下は、うつ。怒りが原動力の壊し屋上司

こちらも見た目はサバサバ系。言動の「男濃度」が高いのが特徴だ。

「僕の女性上司は、いわゆるクラッシャー系です。攻撃の武器は、口。罵詈雑言で部下をぶっつぶします。うつになった同僚もいます」

とは、IT系企業に勤務する33歳の男性Bさんだ。男性上司が「バカ」とか「死んじまえ」とか言えば、それはもちろんパワハラだが、キャラクターによっては「熱い人」と解釈され、おとがめなしのケースもある。

しかし、Bさんの女性上司の言葉は部下の心を突き刺し、えぐる。

「(肩を落として、他の社員に聞こえるように大きなため息をついて)もうちょっと期待してたんだけどな~」
「おまえ男のくせにろくでなしだな」
「あなたのせいで、プロジェクトがボツになった。どーすんのよ」

など、嫌みで挑発的な言い回しで人格否定したり、責任転嫁したり。

「メンツをつぶし、鼻をへし折る。鋭利な言葉を意識的に使って、屈服させて、満足感を得る性格の人です。いびる、いたぶる、というのが得意なのでしょう」(矢幡さん)

辛酸さんも心当たりがある。

「毒を吐くことを自らの糧にして、仕事を回すタイプです。怒りを燃料にして、働く。相手のエネルギーも吸い取る。ただ、汚い言葉で罵るので心が汚れ、顔がどす黒くなります。こうした上司には、部下がヨガや瞑想教室に誘って毒や怒りをデトックスしてもらうように仕向けるのが得策でしょう」