あなたの熟成ぶりはいかがです?

さてそんな酸っぱい私であるが、このPRESIDENT WOMAN Onlineでのコラム連載『WOMAN千夜一夜物語』も最終回となった。そもそもこの連載名は、私が『オンナ怪談百物語』とそれこそ塩っぱい中2病めいた提案をしたものを、担当編集さんが「……せめてあとひと桁足しましょう」と、綺麗にまとめてくれたものである。

連載開始以来1年弱、2人の大変デキる編集者さんに恵まれ、私が彼女たちに送るメールはほとんどが「お忙しいのに(原稿を)お待たせしてすみません」「(原稿が)遅くなってすみません」と謝罪から始まるという体たらくだったのだが、毎週やってくる署名コラム締め切りのプレッシャーで私が就寝中の歯ぎしりに悩むのを知ってかしらずか、みなさんとっても優しく励ましてくださる上に、仕事の早さと丁寧さは驚くほどだった。原稿に詰まると好きなバンドのライブDVDに逃避する私の手を引いて、ここまで上手に連れてきてくださった編集YさんとTさんには頭が上がらないのです。ありがとうございました。

連載開始当時のインテリ美魔女N編集長にいただいた「河崎さんは、下世話な話をしても品があるから大丈夫」との身にあまる高評価だけを頼りに「品のあるゲス」を目指したこの連載では、毎週いかにもな政治経済の話題よりも“子宮”とか“セックス”とか“イケメン”とか、一流経済誌PRESIDENTの画面にあるまじき文字面の単語ばかり展開し、「どこまで書いたら叱られるのか」と極めて小規模なチキンレースを繰り広げてきた。結果、一度も怒られなかったことをここに付記しておきたい。みなさん懐が深いのだ。いやぁ、そうと分かっていたら今後もっとエグいテーマを出現させたかったものである(笑)。

この連載で何度も口にしてきた“女性活躍推進”という言葉の真骨頂とは、それまでメディアでは何かと消費やら恋愛やらの場面でのみ描かれ規定されがちだった、「女の生き方」「女の居場所」を広げたことにある。ドラマやファッション誌で描かれ、女が食べる場所やうろつく場所、着るものを買う場所、口説かれる場所ではなくて、「食い扶持を稼ぐ場所」「責任を負う場所」「キレイな顔と体ではなく、まともな頭と人格を持つ人間として発言する場所」を広げたということだ。

湯山玲子『四十路越え!』(角川文庫)

大好きな著述家、湯山玲子さんの著書『四十路越え!』から、素晴らしい指摘を引用する。

「悩んだ時の解決法は、経験者に聞け!が鉄則。

だからこそ、混迷の時代に国を導いた坂本龍馬や勝海舟の行き方や信条は、現在、同じ想いの政治家や経営者に共感を持って読まれています。しかし女性の場合は、あまりにも置かれた社会状況と立場が異なり、また後世に業績を伝える伝記や小説の著者の女性観のバイアスがかかるので、おいそれと同性のロールモデルはいません。(中略)過去の考え方のフレームでは、良き方向どころか、よけいな心配や迷いを新たに抱え込みそうな危険があります。」