誰かがいばらの道に飛び込まなければならない

私には、“女性初”という冠がたくさん付いてきました。カイロ大学を日本女性で初めて卒業、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」で初の女性キャスター、女性初の防衛大臣、女性初の自民党三役である総務会長……。「女性初」というのは話題になりますが、同時に批判の的にもなり、たたかれることもねたみを買うこともあり、いばらの道でした。

しかし、誰かがその道へ飛び込んで「ガラスの天井」を突き破って、パイオニアとならなければ、何も始まりません。

「ああいう人になりたい」と具体的な目標があれば、成長の度合いもぐっと上がります。世界に目を向けてみると、英国ではメイ首相が誕生し、米国ではヒラリー・クリントン氏が大統領選を戦っていて、ローマ市長も美人でステキな方。多くの女性が活躍しています。日本の女性の能力も、そこにあるとわかっていながら十分活用されていない「地下資源」であり、日本の成長の切り札でもあります。

一度の失敗や一度の成功に一喜一憂していてもしょうがありません。これからも一緒に“女性が輝く社会”をつくっていきましょう。

小池百合子
1952年、兵庫県生まれ。76年カイロ大学卒。「ワールドビジネスサテライト」などでキャスターとして活躍。92年、政治家に転身し参議院議員1期、衆議院議員8期連続当選。2003年環境大臣、07年女性初の防衛大臣を務める。

撮影=Keiichiro Muraguchi