業績絶好調のトヨタ自動車。その成功要因を海外市場や為替相場にだけ求めることはできない。決算資料をもとにその高利益率の秘密に迫る。

トヨタ絶好調の理由は円安にあらず

トヨタ自動車が好調です。国内自動車メーカーの大手3社であるトヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業のうち、トヨタと日産は3期連続の増収増益であり、2016年3月期には過去最高益を記録しています。中でもトヨタは連結ベースで売上高28兆円、当期純利益2兆円を誇り、業績面において国内では圧倒的なナンバーワンの座をキープしています。

この連載の第1回目「なぜトヨタ車を買う5人に4人が海外にいるとわかるのか」で取り上げた通り、トヨタの売上の約8割が海外売上です。業績絶好調の背景には海外市場への進出や円安による恩恵があります。ただその成功要因を海外市場や為替相場にだけ求めることはできません。

その証拠に、業界内で2位と3位の規模を誇るホンダと日産も売上のほとんどが海外売上ですが、トヨタはその2社を売上高で大きく引き離すだけでなく、利益率においても圧倒的な高さを誇っているのです。

【上】自動車大手3社 売上高。【下】自動車大手3社 当期純利益率。 

それでは3社の有価証券報告書を見ていきましょう。過去5年間の売上高および当期純利益で比較するとトヨタはいずれにおいても他社との差をどんどん広げていることが分かります。売上高で見ると、2012年3月期では日産との差は9兆円でしたが、2016年3月期には16兆円もの差に広がっています。利益率に関しても、2016年3月期には、日産が3.6%、トヨタが1.5%と、日産の方が倍以上高い数値を上げていましたが、今では逆転し、トヨタが当期純利益率8%以上をたたき出しています。その強みの源泉は一体どこにあるのでしょうか。