「山ガール」が引く手あまたな理由

年下男性の心をつかむ女性の多くに共通する趣味、それは「登山」である。ミホコさんも、山ガールだった。

彼女はお見合いパーティーにも積極的に参加していた。「どうせ、年下にしか興味がない態度を取るんだろうな」と思って様子を見ていたが、彼女は予想外のふるまいをしていた。

苦手と話していた年上の男性が相手であろうと、分け隔てなく笑顔で話をしているのだ。彼女と話す男性は、トークタイムが終わる頃には表情が緩み、彼女に好意を持っていることが伝わってきた。その結果、年上だけでなく、年下の男性からもたくさん交際の申し込みを受けることとなった。

ミホコさんを筆頭に、なぜ山ガールたちは男性の心をつかむことができるのか? それは包容力があり、気取りがないからだ。

登山とは危険が伴う趣味であり、チームワークが重視される。チームメンバーと助け合いながら、苦しいプロセスを越えて山頂に立ち、全員そろって下山する――そんな経験が、彼女たちの人間性を高めている。限られた材料で食事を作ったり、眠りづらい状況下で眠ったりと、生活力、生命力、応用力にも富む。自力で登頂、下山する必要があるため、依存心も低い。

また、チーム外の人と声を掛け合うことも多く、初対面の人とのコミュニケーション力も鍛えられる。山の愛好家には年配の人も多い。ミホコさんは「年上は苦手」と言ったが、それは交際相手としてであったようだ。

さらに山ガールはなかなかの美人ぞろいだ。山では水を汚してはならないため、化粧した顔を洗うのは御法度である。そのため、登山中は日焼け止めを塗るだけ、という人もいる。故に、素顔をさらせるレベルの薄化粧なナチュラル美人が多い。婚活においては、化粧映えする派手な美人よりもこういった女性の方がモテる。恐るべし、山ガール。

しかし、ミホコさんは、実際に交際するというところまでは至らなかった。お見合いで年下男性からお付き合いしたいと言われても、首を縦に振らなかった。

「年下と結婚したいんじゃないんですか? こんなにお申し込みを断るなら、年上の人も対象に入れないとお話がなくなってしまいます」と、私は切り出した。すると、彼女は胸の内を話してくれた。