新築住宅なら10年間は国が保証、優良住宅でコストカットも

最近、マンションの杭の長さが足りずに傾いてしまった事件がありました。日本は地震が頻繁に起きることもあり、世界でも稀にみる良質な住宅性能を誇るのですが、「マンション傾き事件」は、マイホームが欲しい人にとって、二の足を踏んでしまうようなニュースでした。

もし、マンションや一戸建ての新築住宅を買った後、欠陥が見つかったとしたら、「住宅瑕疵担保履行法」により国が守ってくれます。この法律は、新築住宅を供給する事業者に対し10年間は瑕疵の補修などが確実に行われるよう、保険や供託を義務付けるものです。

万が一、事業者が倒産した場合でも2000万円までの補修費用の支払いを保険法人から受けることができます。

一方、耐久性や省エネ性、維持管理のしやすさが一定の基準を満たす優良住宅は、「長期優良住宅」の認定が受けられます。認定を受けると、登録免許税や不動産取得税が安くなるほか、住宅ローン控除の控除額が上乗せになります。

さらに住宅ローンの金利の面でも優遇があります。住宅金融支援機構の全期間固定金利型のローンで優良住宅専用の「フラット35S」なら、当初の金利がAプランで10年間0.3%、Bプランで5年間0.3%引き下げられます(AプランとBプランの違いは住宅性能によって分けられる)。こちらも良質な住宅に住んで欲しい国の施策です。参考までに「フラット35」の金利は、2016年7月現在、返済期間が21年以上35年以下、融資率が物件価格の9割以下で、年0.93%~年1.58%(団信含まず)。「フラット35S」は、そこから0.3%引き下げとなり、変動金利型並みの金利で全期間固定できるというわけです。

一般的な民間銀行にしても、優良住宅はローン金利の割引率を大きくしてくれるところが多いです。住宅ローンを借りるときには物件の審査もあるので、交渉してみましょう。

ここで優良住宅の基準は、「住宅性能表示制度」の表示が目安となるでしょう。この制度は住宅の性能を等級でランク付けしたり、品質を数値で表す制度で、国が表示のルールを定めています。

優良住宅を購入したり、自分で建てたりするにはコストもかかりますが、長い目でみて手厚い優遇はもちろん、その後の維持管理コストや住み心地、長く住んで子どもに渡すことまでを考えると、決して高くつくものではありませんので検討してみましょう。

マネージャーナリスト 坂本君子(さかもと・きみこ)
広告代理店、出版社にてサラリーで働くエディター、ライター、プランナー、コピーライターを経てフリーに。得意分野は投資、住宅関連。大ブレイクはしないけれど、仕事は堅実でハズさない。満を持して2008年に起業。個人投資家としての投資歴は15年選手(ちょっぴりプラス)。