先生のお手本

【先生が指摘する4つのポイント】
(1)お決まりの時候の挨拶はやめる
自分が実際に感じたことを時候の挨拶として入れたり、相手のことを思いやる言葉を加えたりして文章に心を注ぎ、他と差をつけましょう。
(2)相手を立てるひと言を真っ先に
プロジェクトうんぬんの話は相手には関係のないこと。相手を立てるひと言を先に置き、最後に相手の力が必要なことを念押しすれば完璧。
(3)段落と行間で読みやすくする
段落の頭は一字空け、話の区切りで改行する。それだけでぐっと伝わりやすくなります。読みやすくする工夫は、書く人の最低限のマナーです。
(4)「拝啓」を書いたら、「敬具」で締める
「拝啓」を書く必要のない時代になってきたとは感じていますが、書いたのなら対応する「敬具」は必要です。署名の位置は敬具の後に。

●忙しい売れっ子をその気にさせる差別化を考えよう

文章って読むだけで疲れますよね。形式ばった手紙なら、なおさらです。そのため僕が代筆する際は、できるだけ言葉をやわらかくしてクライアントの思いが相手に伝わるように心掛けています。今回のように忙しい人に宛てた依頼文となると、より一層その点に気を配りたいところです。

横尾さん(仮名)の手紙を一読した印象ですが、まず、宛名の後の「御侍史(おんじし)」に驚きました。固い! 業界ではよく使う表現とのことですが、何度か会ったことのある相手なら省いてもいいでしょう。

次に気になったのは、先生の必要性よりも先に自分のことを伝えようとしている点。構成を入れ替えるだけで印象がぐっと良くなります。

先生は依頼状をたくさん受け取っているはず。そんな中で、「この会社の力になろう」と思ってもらうには差別化が重要です。最初の「先生の顔を思い出しました」は、誤解を生じそうな場合は省いてくださいね。