女性だってもっと貪欲になっていい

02年、43歳で専務取締役に就任。管理本部から営業本部の統括となり、取締役副社長を経て、46歳で代表取締役社長に就任した。先進的な土壌を持ったシーボンに転職したからこそ、開けた道。が、先進的な社内とは裏腹に社外では女性であることで、不愉快な思いも多々経験したという。

「男性役員と会合に出席すると、『奥様?』と言われることも。国が掲げる女性活躍とは裏腹に、実態は遅れていると痛感しました。

わが社には学歴や性差の壁はありません。実力第一。優秀な人物が100%有名大学に行くわけではないので、有名大学出身者しか採用しない、役員にしないという考えはありません。上に上がるには人格的要素も重要だし、総合力で判断されるものだから。けれど、上ができると判断しても、昇進にストレスを感じる女性は圧倒的に多いですね。肩書、収入がアップするぶん責任は倍増するので、負担を感じるのでしょう。

女性だからといって、家庭と仕事の両方を得てはいけない理由はありません。まずはチャレンジしてほしい。千手観音のようにたくさんの手であれもこれも手に入れてもいいはず。最初からあきらめる必要はないのです。手に入れたかどうかは結果でしかない。タイミングや“運”もあるかもしれないけれど、運を引き寄せるには、置かれた場所で一生懸命やることしかないのです。その姿を誰かが見ていて、より広いいけすへと放してくれる。放された池での泳ぎを楽しんでいれば、階段を上るように徐々に小さな魚でも大きく成長できます」

■金子さんの経歴

(1959年)北海道美唄市で生まれる
(20歳)札幌市の短大を卒業/医薬品卸会社へ就職、3年間事務員として働く
(23歳)シーボン札幌支社へ転職、美容部員として配属される
(24歳)東京本社へ異動/ネイルサロン勤務となり、米国研修へも参加/ネイリストとして活躍後、美容部教育担当となる
(30歳)企画室を立ち上げ、企画室長に/さまざまな製品を開発
(41歳)管理本部長に抜擢
(43歳)専務取締役就任
(44歳)専務取締役営業本部長就任
(45歳)取締役副社長就任
(46歳)代表取締役社長就任/就任後、株式上場を果たし、現在に至る

撮影=荒井孝治