未経験の分野である管理本部長に抜擢

転職から18年目となる2000年、これまでの実績と手腕を買われ、まったく未経験の分野である管理本部長に抜擢。取締役に就任した。総務・人事・経理・システムすべてを網羅する管理部の知識はゼロに近い。

「このときほどハードルの高さを感じたことはありません。まるで10段飛びのよう。知識のない人間が管理本部長なんて考えられない。一体何をやればいいかすらわかりませんでした。社内の誰にも不安な気持ちを相談できず、顧問である公認会計士の先生に相談したところ、『大丈夫。今、会社は上場準備をしているから、1年も経てば全部わかるようになる』と。そういうものかと思いましたが、『金子ならやれる』と抜擢されたのだから、毎日無我夢中でやるしかありませんでした」

株式公開実現に向けて当時の代表が掲げた、「専門知識がなくても信念があればできないことはない」という言葉を胸に、独学で勉強しながら、実務をこなす日々。大抜擢に対する社内の風当たりも感じたという。

「『部長は、何も知らない』と言われたことも。でも、結局知らなくていいこともあるんです。知らなければ『この人に言ってもしょうがない』と部下も言い訳するのをやめ、結果を出すしかなくなります(笑)」