少年たちが「男臭い」ワケ

先日、面白い話を聞いた。思春期(第2次性徴期)に入った少年たちはホルモンバランスの変化で体臭が変わり、「男臭くなる」のだが、そのニオイを母親は特別に臭いと感じるのだそうだ。それは、近親相姦を防ぎ、母が息子を性的な対象として見ないための生理的な働きなのだという。自分の血を分けた息子にそういった関心を抱かないための仕組みがちゃんとあるとは、自然界って本当に親切に、よくできているもんだなあと感心する。

だからなのか、私は自分の子と同じくらいの年齢の若い可愛いイケメンを見ても、母の心境にしかならない。アイドルの顔を見ると、その母親のことを想像してしまう。「ふむふむ、これはお母さんがニュアンスのある和風美人で、そのDNAの影響が強いのだな」「あぁ~、この子のお母さんは相当ハデな顔立ちだろうな。しかも性格もハデそうだ」「おお、若いのに食べ方が綺麗だぞ、きちんとしたしつけを受けて育ったのだろうなぁ」「語彙が豊富だなぁ、家庭内の会話のレベルが高いのだろうな」。自分に子どもがあると、それをベンチマークのようにして、その世代の人々を見るようになる。すると、恋愛を目的とした関心対象からは自然と外れるのだ。

だからよく考えると、単なる年下婚といったレベルではなく、自分に娘がありながら、娘世代の(あるいはさらに若い)女性と交際する男性や、自分に息子がありつつ息子世代の男性と交際する女性は、「かなりのもの」だということになる。自分の子と同性で同世代の誰がしかと恋愛関係に陥る、何かしらのリミッターを外した「魔性」とか「魔女」とか「マニア」とか、「マ」のつく話になってくる。

吉田羊は母じゃないから、22歳の美形男性アイドルと交際しても、別におかしくはない。むしろだから強烈に感じさせられるのだ。女優・吉田羊は、実年齢42歳にして、母でも妻でもなく、生涯「女」である人生を選んでいるのだと。