軌道修正は間違いではない

【河崎環さんの回答】

いやぁ、自分って分からないですよねぇ。自分は何がしたいのか、何ができるのか、どういう人間なのか。他人のことはいろいろと見えても、自分が一番分からないものです。ましてそれが「きっと正解」と行動した後に、本当は自分が望んでいなかったと気付く……。事後なだけに、そして自分が起こした行動なだけに、苦しいですよね。

それはきっと、ご自分でも気付いていらっしゃるように、「こうすべき」「こうあるべき」とあなたが信じている姿と、あなたの本音には距離があるからなのですよね。でもあなたは「こうすべき」と思ったらその通りに行動するくらいとても真面目で、しかも「夫に辛い思いをさせている」と、責任感まで強く、決して人のせいにしない。だからご自分を責めて辛いのですよね。

でもよくよく拝読すると、「30歳を過ぎた今」とのことで、まだ十分お若く、自分の扱い方を試行錯誤する時間がありますよ。まずは、人生の全てのことにおいて「軌道修正することは間違いではない」ことを知ってください。どこかで誤っていたと判断したら、そこで軌道修正してもいいのです。誠心誠意、巻き込んだ人々に謝り、償って。あなたはとても真面目な方だから、その誠意はちゃんと伝わると思います。

「軌道修正してもいいのだ」。そう思ったら、少し気が楽になりませんか。自分の心に耳を傾けて、いよいよ軌道修正したくなったら(「軌道修正すべきと思ったら」ではありません)、誠実に進めましょう。よくよく悩んだ結果、軌道修正には及ばない、このままでいいと思えるのなら、それもまたご自分の良き判断、“三十を超した”大人の女の選択なのです。

女性回答者プロフィール:河崎環(かわさき・たまき)
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。

文=本田健、河崎環 イラスト=伊野孝行