若手医師の成長を見守る

いま、副病棟長として若手医師を育てる立場でもある彼女は、個々の体験の意味をそのつど本人が考え、自らのスタイルをつくり上げていけるよう心がけている。

答えを自分が持っていても、それを伝える前に「一拍、時間を置く」。

日々葛藤し、悩む後輩たちの姿を、松尾さんは自分の昔の姿を見るような思いで見守っているのだろう。

Holiday shot!【写真上】長い休みはなかなか取れないが、2016年のゴールデンウイークには約10年ぶりに台湾を訪れ、中国茶を楽しんだ。マンゴーかき氷は毎日食べた。【写真下】大学の同期と軽井沢に花を見に行ったときの一コマ。同期の子どもたちが大きくなってきたので、最近会う機会が増えている。

悩み抜いた末に何らかの答えを見つけていく若手医師の成長を見ることが、最近はやりがいの一つになってきた。

この2年間で、腎臓内科を希望する女性医師も増えてきている。また、育休を取得した後に医局へ戻ってきた医師もいる。

そんななか、副病棟長として3年目を迎えた彼女は、次のように言った。

「制度を成熟させて環境を整えると同時に、女性の後輩たちには楽しんで働く自分の姿を見せたいと思っています。そうすれば、きっと彼女たちもついてきてくれる。だから、これからは医師としての仕事や出世に対する“野心”も、もっと持つようにしていこうと考えているんです。そうすることが、女性医師の歩く道を均(なら)していくことにつながると思うからです」

 

■松尾さんの24時間に密着!

6:00~7:00 起床・朝食
7:00~8:00 自宅出発・出勤
8:00~9:00 抄読会(医局勉強会)
9:00~11:00 教授回診
11:00~12:00 病棟カンファレンス
12:00~13:00 昼食
13:00~19:00 手術、病棟回診、急患対応など/週に2回は外来診察日
19:00~21:00 研究など/週に1回は医局会
19:00~21:00 退社
21:00~23:00 帰宅/夕食/ストレッチ
23:00~24:00 入浴
24:00~6:00 就寝

【写真左上から時計回りに】抄読会(医局勉強会)では、医局員が交代で最新の文献について発表しあう。/週1回の教授回診には、30人ほどの医師が参加。/病棟カンファレンスでは、医療スタッフと患者情報のすりあわせを行う。/病棟回診では、1日10~15人の診察をこなす。
松尾七重
1998年、東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業後、第92回医師国家試験に合格。2003年4月、同大学の腎臓・高血圧内科に入局、助教となる。12年4月より、同大学附属病院に勤務。

撮影=村山嘉昭