多岐にわたるメニューと顧客層が収益力の秘訣

実はIBJは婚活サイト、婚活パーティーおよびお見合いのセッティング、結婚相談所の運営の他に、事業主向けに婚活システムの提供および開業支援も行っています。顧客は婚活中の個人に止まらず、提携先の飲食店や結婚相談所を運営する事業主、広告主にも及びます。婚活ビジネスのノウハウを最大限に活かして収入源をつくっていたのです。

事業内容としては次の4つに大別できます。

1. コミュニティ事業:婚活サイト「ブライダルネット」を運営
2. イベント事業:婚活パーティー&お見合いセッティングを運営
3. ラウンジ事業:直営結婚相談所「IBJメンバーズ」を運営
4. コーポレート事業:加盟相談所へのシステム提供、開業支援

では、このうち、どの事業が最も稼いでいるのでしょうか。事業部ごとの売上割合は図「IBJ 事業部ごとの売上割合」の通りです。

IBJ 事業部ごとの売上割合。

意外に思われるかもしれませんが、実はイベント事業の売上が最も多く、その次がラウンジ事業となります。

IBJの通期決算資料によれば、2015年12月期ではイベント動員数が約38万人でした。これは月額3000円の婚活サイトの活動会員数21万人を上回る数です。

また、カウンセラー付きの結婚相談所の運営を行うラウンジ事業に関しては、会員数が比較的少ないものの単価が20万円前後に上るため、これも大きな収益源となっています。

そして、IBJの会員数が増えればそのシステムを利用しようとする加盟者が増えます。コーポレート事業では加盟結婚相談所に対して約120万円の加盟金の他に月額約2万円のシステム利用料を課しています。

ここまで売上について述べてきましたが、「それぞれの事業には経費が発生するのでは?」「イベント事業は経費がかかりそうだけど、本当に高収益なの?」という疑問を持たれた方がいるかもしれません。残念ながら有価証券報告書のセグメント情報では、コーポレート事業とコミュニティ事業、イベント事業の3つの事業が1つのセグメントとして合わさった形で収支が開示されており、イベント事業にかかる経費は単独では分かりません。また、決算説明資料でも各事業の売上高のみ開示されており、利益は不明です。本来であれば各事業部の売上だけでなく利益も明らかにしたうえで、費用の分析をしたいところですが、それができない状況です。

あくまで推測ではありますが、私はイベント事業の利益率は高めだと考えています。理由は、婚活パーティーの会場として主にラウンジ事業の店舗を使っており、ワンドリンク制をメインとしているためです(IBJwebサイトより)。自社の店舗を使えば会場費を節約できますし、ワンドリンク制であればコストはさほどかかりません。それでいて会費は4000円前後ですので、利益は多いはずです。また、提携先の飲食店を会場として行う婚活コンパは、コンパ参加者の参加料の他、飲食店からの紹介契約に対する月額基本料が収入となるため、こちらも高利益となると思われます。