唾液で簡単に自分の遺伝子を検査できる――将来の疾病リスクなどが判別可能だという、遺伝子キットが売れている。既に45万人の遺伝子情報を持つ、遺伝子検査国内大手・ジェネシスヘルスケアの佐藤代表に、予防医学の未来と成長戦略を聞いた。

ジェネシスヘルスケア株式会社 佐藤バラン伊里 代表取締役

2004年、外資系投資銀行から、遺伝子解析と研究を行う会社を設立した佐藤バラン伊里さん。息子さんの病気を改善したいという願いから始まった事業は、人類の医療の未来を変える、新しい分野へ飛び込むきっかけとなった。医療におけるパラダイムシフトの渦中にいる自分たちは「土台作りの世代」と言い、次の世代にできる限りの「財産」を手渡したいと語る。

――佐藤さんは外資系金融機関でキャリアを積んでこられたそうですね。経歴を簡単に教えていただけますか。

父の仕事の関係で主にアメリカで育ち、スイスやフランスなど、ヨーロッパでも暮らしました。アメリカのコーネル大学を卒業して、1993年、日本に戻り、今ようやく人生の半分を日本で過ごしたことになります。

語学力が買われて、クレディスイスなど外資系投資銀行でM&Aやレバレッジ・バイ・アウトをトータルで約10年間、担当しました。経済発展し始めた中東をはじめ、40カ国ほどに出張しましたね。

海外育ちの私にとっては当たり前だったのですが、当時の日本ではまだ、女性がキャリアとして投資銀行で働くなんて、珍しい時代。ダイバーシティの観点から、女性がキャリアとして働くためのメンタルトレーニングなどにも駆り出されていました。

ところが、息子が高機能自閉症と診断されたことで、勤務先を辞め、この会社を創業しました。といっても、あくまでも利己的な目的によるプロジェクトとして始めたのであって、共同研究によって得られる知的財産を管理する箱として会社組織にしただけでした。

実際、最初の数年間、事業はほとんどしておらず、息子を中心とした遺伝子=フルゲノムを解析する研究を行っていました。

そのような経緯もあり、共同創業者の夫と私でお金を持ち寄り、共同経営していますが、夫は普段、自分のファンドを経営していまして、この事業には経営面とメンタルサポートで関わっています。