“働き方改革”、働く女性のとるべき3つのアクション

今、日本では急速なスピードで進む少子高齢化と労働人口の減少を受けて、“働き方改革”の機運が高まってきています。2015年6月に内閣から発表された「日本再興戦略」の総論部分には、長時間労働の是正と働き方改革が重要事項として盛り込まれています。毎日新聞が主要121社を対象に行った働き方改革に関するアンケート調査によれば、柔軟な働き方を実現するための後押しとなる在宅勤務の導入について「導入している・導入を決めている」と回答した企業が48%に達し、「検討中」企業の25%とあわせて7割を超えています。

こうした機運が高まるなか、自身の働き方に苦しさを感じている女性の皆さんにお伝えしたいアクションは3つです。1つ目は、会社の働き方を改革するリーダーになること。先に述べたように、“働き方改革”は社会的な動きになりつつあります。この動きを自社に取り入れるべく、経営陣や人事にかけあったり、社内で働き方を変革するための勉強会や研修を実施したりして少しでも自社で個々が能力発揮できるフレキシブルな働き方が実現できるよう率先して行動を起こすことをおすすめします。

しかし、組織を変革するのには時間がかかります。もし自社の働き方が変わらないと思うのであれば、よりご自身が能力発揮できる場所を求めて“転職する”のも一案です(これが第2のアクションです)。皆さんは現在の求人倍率をご存じでしょうか? 2016年2月の有効求人倍率は1.28倍でバブル期以来24年ぶりの高水準となっています。完全な“売り手市場”です。まして、2016年4月1日に施行された女性活躍推進法の影響もあり、管理職候補になりうる女性の中途採用には企業側も積極的です。

そして第3のアクションは“独立する(=フリーランスになる)”ということです。もちろん、向き不向きはあると思います。ただ、プロとしての十分なスキル・経験があって、どんな仕事をどこで誰とするのか――自分で責任を持って完全に自由に選び取りたいとなったら、私は間違いなくフリーランスの道をおすすめします。

年金の支給開始年齢引き上げの可能性もあり、私たちは70歳近くまで働く可能性があります。大卒で就職した場合、ほぼ50年にわたり働き続けるわけです。“職業人生50年時代”の到来です。50年もの間、“シャチク”である必要はありません。より自分らしく、幸せに、サステナブルに働き続けられるように、組織を改革したり、能力発揮できる場所を求めて行動したり、独立したり……キャリアの主導権を自身が握って切り拓く――そんな強い意識と行動力が一人一人に求められていると感じます。

田中美和(たなか・みわ)
株式会社Waris共同代表、キャリアカウンセラー。
大学卒業後、出版社にて日本女性のキャリア・ライフスタイルについて幅広く取材。インタビューや、アンケート分析を通じて接してきた働く女性の声はのべ3万人以上。09年にGCDF-Japan キャリアカウンセラーの資格を取得。女性が自分らしく前向きに働き続けるためのサポートを行うべく2012年退職。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て、2013年総合職女性と企業とのフレキシブルなお仕事マッチングを行う株式会社Warisを共同設立。共同代表。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)がある。http://waris.co.jp