年商数兆円の大手優良企業でもたった8年で転落

経営不振で債務超過に陥ってしまったシャープ。100年超の社歴を誇るシャープの業績は、どこで悪化してしまったのでしょうか。

実は、2008年3月期までは6年連続の増収増益で業績絶好調でした。売上高と当期純利益を2003年3月期から2016年3月期までのスパンで見ると、2008年3月期までは順調そのものように思えます。過去最高益を計上した2008年3月期には、連結ベースで3兆4177億円の売上高を記録し、当期純利益は1019億円です。また、同期における自己資本比率は40%であり、メーカーとしてはごく平均的な財政状態でした。それが8年後には債務超過になるとは誰にも予想できなかったのではないでしょうか。

シャープ 売上高および当期純利益率の推移

2008年9月にリーマンショックが起こり、それに伴い急激な円高が進行したこともあり、シャープは海外メーカーとの価格競争に勝てなくなっていきました。転落劇はここから始ままったのです。

2009年3月期から2016年3月期までの8年のうち、営業損失を計上し、さらには当期純損失に終わってしまった年は5年もあります。それ以外の3年は辛うじて利益を出しているものの、いずれも当期純利益率0.7%以下と極めて薄利です。

2013年3月期には大幅なリストラを行い、期末時点で全社員の1割以上に当たる6109名もの人員を削減しました。そして2015年3月期にも1157名の人員削減を行いましたが、売上の減少にコストカットが追いつかず事業の建て直しに難航している状況です。

6年連続の増収増益で売上高3兆円を突破した大手老舗メーカーが10年も経たずに転落してしまった理由は、いったいどこにあるのでしょうか。