たったの10数本の例外、直販のメリットとは

銀行や証券会社の窓口販売顧客の多くは、まとまった資金を持ち、対面の直接販売によるアドバイスを求める高齢者層です。では、プレジデントウーマンオンライン読者世代の皆さんは、どうやって投資信託を買えばよいのでしょうか? ここで、今、記事を読むために使っているパソコンやスマートフォンの出番です。インターネット証券か、同じ販売金融機関であっても窓口ではなくインターネット販売を用いて、“自ら考え判断し”投資信託を選んでみてください。ネット経由であれば、販売手数料が高い商品や不要な買い替えを避けることもできます。商品によっては販売手数料がかからないものもあり、それらを取り扱っているネット証券もあります。

そして約5900本ある投信のうち、たったの10数本ですが、例外があることに注目してみてほしいのです。これらの例外とは、投資信託運用会社が販売会社を通さず直接販売(直販)している投資信託です。販売会社を介さないため、直販の投信はどれも販売手数料がかかりません。

私が代表取締役社長を務めるセゾン投信が直接販売のため、我田引水となり恐縮ですが、直販スタイルにこだわる運用会社は、回転売買、乗換営業によって大事な長期投資が損なわれることを嫌い、あえて自ら運用する商品をダイレクトに提供しているのです。

“まっとうな投資信託”を見つけるためには、自ら学び、考え、判断して行動することが必須です。ネットを使って購入するという方法や、販売金融機関を通さない直接販売の商品などにも目を向けてみてください。では、投資信託業界の内幕を学んだところで、次回は長期投資にふさわしい商品選択の条件について、いくつかのポイントを示しながら解説します。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社 代表取締役社長。1987年明治大学商学部卒業後、現在の株式会社クレディセゾン入社。セゾングループで投資顧問事業を立ち上げ、海外契約資産などの運用アドバイスを手がける。その後、株式会社クレディセゾン インベストメント事業部長を経て2006年に株式会社セゾン投信を設立、2007年4月より現職。米バンガード・グループとの提携を実現し、現在2本の長期投資型ファンドを設定、販売会社を介さず資産形成世代を中心に直接販売を行っている。セゾン文化財団理事。NPO法人元気な日本をつくる会理事。著書に『投資信託はこうして買いなさい』(ダイヤモンド社)、『預金バカ』(講談社)など。