女性ワクワク推進は男女別のトイレから

大澤所長の期待を背に受ける鈴木氏だが、2011年に始まった「わくわくウィメンズプロジェクト」も勇気を与えてくれたと言う。これはSGホールディングス全体が掲げる女性活用推進計画で、収益の30%を女性が担うようにしようというものだ。

「今まで縁の下の力持ちだった女性社員をキャリアアップさせようというプロジェクトです。女性管理職の積極的な登用もあるので、現在働いている女性にはすごく励みになります」

鈴木氏には、会社の女性活用の本気度がしっかりと伝わっているようだ。

グループ全体で推進する「わくわくウィメンズプロジェクト」を受け、佐川急便でも2013年2月に「さがわワクワク委員会」が発足、6月には委員会で決められた方針や施策を具体的な形にしていく「女性ワクワク推進課」が人事部に設けられた。

さがわワクワク委員会の委員長には荒木秀夫社長が就いた。自ら女性活用の旗振り役を引き受けた背景にあるのは、女性に対する並々ならぬ期待感だ。

代表取締役社長 荒木秀夫氏「女性社員には、男性にはない視点で新しい提案をしていってほしい」

「たとえば女性のお客さまからは、女性スタッフが配達や集荷に来ることで安心感を持ったり、女性ならではの気配りがうれしいという声を聞くことがあります。女性社員には、男性ではなかなか気づかないような視点から、新しい提案をしていってほしいですね」

女性ならではの感性を持って、業務や仕事に積極的に意見し、かかわることを期待する。現在、佐川急便の女性比率は23%。当面は30%を目標にし、20年までには35%に引き上げたいという。ちなみに今、同社を志望してくる新卒のうち4割が女子学生だ。

しかし、女性ワクワク推進課の課長、三宮加代氏が1999年に新卒で入社したころは、「総務部でさえ圧倒的に男性の多い」会社だった。

「今、管理部門は私服なのですが、当時はみんな青の縞シャツを着ていて、ドライバーと事務職の区別もつかないような職場でした(笑)」