夕方6時上がりのリーダーが誕生

「鈴木さんは元気がいいし、お客さまからも非常に評価されていたので、もっといろいろなお客さまを相手に活躍してもらいたいと思いました」

それを聞いた鈴木氏は、「うれしかったですね」と振り返る。期待に応えるべく、早速、大型免許を取った。実際にドライバーになってみると、さらにうれしさが増した。

以前は専業主婦だったという鈴木氏。大澤所長に背中を押され、館内配送をするデリバリーサポートからドライバーに転身した。

「いろんな集荷先や配達先に行って、お客さまと会話できるのもやりがいですし、ドライバー同士のやり取りも楽しいです」

現在、鈴木氏はドライバーをしながら、主任として16人の班員をまとめる。うち12人が女性だ。指示をするときに気をつけているのは、感情的にならないこと、押しつけにならないこと。

「ほとんどの人が家庭を持った、子育て中の女性なので、意見や要望にじっくり耳を傾けています。毎日同じ出勤時間では働きづらいとなれば、出勤時間をずらしたり、休日日数を増やしたりもします」

そういう鈴木氏自身も、9歳と3歳の子ども2人を育てながら、トラックを動かす。効率的に集荷・配送できるスワップボディ車のおかげもあって夕方6時に職場を上がることができる。

大澤所長は鈴木氏も含め、さらなる女性社員の活躍を求める。そのためには女性が働きやすい環境が不可欠だ。

久喜営業所 所長 大澤通隆氏「精神的にタフになれば、彼女はこれからもっといい管理職になりますよ」

「個人の時間を大切にし、働ける時間帯に働けるようにしなければ、雇用の促進はできないと思っています。産休も遠慮なく取ってもらい、退職しない選択をしてほしい」

大澤所長が久喜営業所に来てから、女性ドライバーの数は増えた。久喜営業所は270人の所帯で女性が56人。そのうち25人が女性ドライバーで、鈴木氏ともう一人が大型車に乗る。

大澤所長は鈴木氏に、もう一段高いステージを狙ってほしいと願う。

「現場ではトラブルに巻き込まれることもありますが、余裕のない状況でも、乗り越えられる精神的なタフさが必要。それが身につけば、彼女はもっといい管理職になっていきますよ」