哲学しながら生きる
-物事の本質を探究する力はビジネスにも必要

ビジネスウーマンがなぜ哲学書を読まなければならないのか? そんな疑問をお持ちの方もいるかもしれません。答えは簡単です。それは、哲学が物事の本質を探究する学問だからです。

ビジネスとはさまざまな困難を乗り越えて、ようやく成功に至ることのできる冒険のようなもの。そこに行きつくためには、困難の背景にある問題の本質を見極める必要があります。そこで役立つのが哲学なのです。

とはいえ、哲学書は一般に難解なものが多く、いきなり難しい本を手に取ってしまうと挫折するのがおちです。簡単なものから順番にうまくチョイスしていく必要があります。

基本はエッセイのように読みやすい形式で書かれているものから始めて、徐々に論理文へとステップアップしていくこと。また、やさしく解説した入門本をガイドにしながら、古典にチャレンジするといいでしょう。

哲学が主題にしているのは、自由や愛といった私たちが生きていくうえで不可欠の事柄ばかり。その意味で哲学は、ビジネスにとどまらず、善く生きることそのもののプラスになるに違いありません。ぜひ読者のみなさんも、まずは初級編から気軽に手に取って読んでみてください。

哲学の本【初級】
-哲学って何? という人は、ここからスタート!

【左から】『哲学はこんなふうに』アンドレ・コント=スポンヴィル(紀伊國屋書店)/『幸福論』アラン(岩波文庫)/『饗宴』プラトン(光文社古典新訳文庫)

『哲学はこんなふうに』アンドレ・コント=スポンヴィル(紀伊國屋書店)
フランスの名物哲学教授の哲学書。愛や死、神、時間といった普遍的なテーマについて、エッセイ形式で本質を探究している。特におすすめの章は「叡智」。物事の本質を求めることは、生きることそのものとわかる。

『幸福論』アラン(岩波文庫)
幸福になるためのヒントを、プロポと呼ばれる断章形式で誰にでも読みやすくつづったアランの代表作。アランの幸福哲学の本質は、ポジティブシンキング。「幸福になる方法」など興味深い箇所が随所に盛り込まれる。

『饗宴』プラトン(光文社古典新訳文庫)
ソクラテスをはじめ有名な賢人たちが愛の神「エロス」について酒席で演説する設定。いわば愛の本質をめぐって賢者たちが飲み会で激論を繰り広げる。真打ちソクラテスが登場し、愛と死の関係を格調高く語る場面は必読。