「これ」を選ぶ消費者の心理に魅せられて

さて、私がBMWに入社することになったのは、BMW Motorrad(モトラッド)がこれまでの自分の経験が最も活かせる職場だと感じたからでした。私はミュンヘンのブランディングの会社に10年ほど在籍し、車やバイクに限らず様々な業種のクライアントに携わってきました。

マーケティングやブランディングという仕事は業界が違っても課題は同じで、どのようにしてクライアントのサービスや製品を特別なものに見せるかが、課せられてきた役割でした。

例えば、同じ機能を持つAとBの商品が目の前にあるとき、なぜある人はAを選び、別のある人はBを選ぶのか。あるいは、なぜスターバックスのコーヒーに対して、人は数百円というお金を払うのか。それは、それぞれの商品に消費者の心に訴えかける何かがあるからです。

その「何か」を考えることの面白さを、私は仕事そのものの中から学んで来たように感じています。製品の機能ではなく、その人の内面から出てくる「好き」という理由や愛情を、マーケティングやブランディングによって作り上げていく。それは今では自分にとって最も刺激的な仕事だと思っています。

サンドラ・エイム
ドイツ生まれ。大学で経営学を専攻した後、各種ブランドのブランドマネジメントおよび、ブランド構築を専門に活躍。自動車、自転車、レジャー、スポーツ、ファッション、金融など様々な産業でマーケティングを経験後、2014年にBMW Motorradに転職し、現職に就く。

構成=稲泉 連 撮影=村山嘉昭