【内田】ちなみに、保育制度はどう改正されたんですか?

【山本】申込書を書く前に保育の必要性認定を受けるプロセスに変わったんです。そんな5秒で説明できることを、役所の資料って実にまどろっこしく書く。だから、お母さんたちは戸惑ってしまう。

【伊藤】同感です。申請書作りは、受け手に対する伝え方が得意な民間に委託してほしい。あと、保育園が配る「しおり」も「何が言いたいねん」みたいなことがつらつら書いてあり、わかりにくいことこのうえない。

【内田】私は最近『保育園義務教育化』っていう本を読んだのですが、ここには良質な乳幼児教育が社会全体の「レベル」をあげることにつながると書かれていました。まったく同感なのですが、振り返ると、私自身、保活でくたびれちゃって「教育」まで頭が回らなかったなと。友人などは、保育園はプログラムがひどいからと子どもを幼稚園に移しました。そのために、時短勤務にし、それでも、お迎えに間に合わず会社を辞めた人も。優秀な人ほど、幼児教育の重要性に気付いていて、保育園の教育に不満なんだと思う。

【伊藤】保育園に関してはサービスの受け手は誰なの? と思うことが多い。子どもではなく親を意識するあまり、お絵描きも親が喜ぶような絵を描かせる園もある。だから、園児の絵はみな一緒。おかしいなと思ってよく見ると、テンプレートをなぞっているだけなの。

【山本】そのほうが、保育がラクだから。統率も取れるので。

【伊藤】保育士さんの待遇が悪いことも影響していると思います。いい教育をしてもらうには、待遇改善は絶対に必要。

【内田】それと、保育園の数の確保は絶対。なのに少子高齢化が進むから保育園の数を増やしすぎないようにしていると聞きます。「え?」と思いますよね。作れば作るほど、入りたい人は増えて、それが女性活躍につながるのに。

【伊藤】まとめると、安倍政権には保育園の数の確保、ポイント制の改革、申請書類の改善、保育士の待遇改善、保育内容の充実を、お願いしたいですね。

■「保育園問題」に関する要望書

日本の保育園問題につきまして、下記により要望いたしますので、宜しくご配意賜りますよう、切にお願い申し上げます。

(1)保育園の数を増やすことに慎重すぎます。いずれ老人ホームなどに使うといった先を見越した計画を立ててもっと積極的に保育園を増やしてください。
(2)申し込みのプロセスが煩雑。民間に委託してはいかがでしょうか。
(3)保活で手いっぱいで、子どもの教育やしつけに頭がまわりません。保育園を義務教育化するなど斬新な案を検討ください。

以上 第8回 座談会参加者 一同