すでに変動金利で借りている人は、0.625%の金利になるわけではない

10年固定や全期間固定で借りている人は、借り換えを検討しようと思うでしょうが、問題なのは、すでに変動金利で借りている人です。「自分は変動金利で借りているから、次の金利の見直しのときに今の変動金利の0.625%になるから、借り換えなくても自動的に金利が下がるんだ。やっぱり、変動金利を選んでいてよかったな。変動金利、最強!」と思うかもしれませんが、これは大きな勘違いです。

ここで、「基準金利(店頭表示金利)」と「優遇金利」と「適用金利(実際に借りる際の金利)」の仕組みを理解しましょう。図のように、「基準金利(店頭表示金利)」から「優遇金利」を引いたものが、「適用金利(実際に借りる際の金利)」となります。基準金利は、長期金利や短期プライムレートをもとに決められますが、優遇金利部分は、各銀行がそれぞれの考えで設定できる割引部分。それによって適用金利が変わってきます。

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「基準金利(店頭表示金利)」と「優遇金利」と「適用金利(実際に借りる際の金利)」の仕組み

これを踏まえて見てみると、0.625%の変動金利で借りられるのは、今の最優遇金利マイナス1.85%が適用される人だけ。すでに変動金利で借りている人は、自分が借りた時点の優遇金利が全期間続くので、もし、マイナス1.00%の金利優遇が条件なら、現在の変動金利の基準金利2.475%から1.00%を引いた1.475%が適用金利となります(図参照)。

マイナス金利になって長期金利が下がったため、10年固定などの基準金利は下がっていますが、「短期プライムレート」と呼ばれる金利をベースにする変動金利の基準金利は2.475%のままで、ここ数年動いていません。マイナス金利で変動金利が下がってきているのは、各銀行が独自に設定できる優遇金利の幅が徐々に広がってきているからなのです。