外国語のような言葉が飛び交うデータの世界で

【原田】ところで、カストディとデータサイエンスでは、まったく仕事の内容が違いますが、ご自分で希望されて異動したのですか?

【尾原】希望したわけではありません。異動が決まったときは、びっくりしました。

【原田】そうなんですね。不本意だと感じたり、辞めたいと思ったりはしませんでしたか?

【尾原】それはなかったですね。仕事はずっと続けたいと思っていましたし、予期せぬ未来でも、チャレンジしようと思っていましたから。

それに、銀行では、こうした“転職”に近いくらいに仕事内容が変わるような異動は珍しくないので、抵抗はありませんでした。これは大企業の面白さでもあって、同じ会社にいながら、さまざまな分野の仕事を経験できます。

【原田】ふむふむ。社会基盤といえるほどの公共性をもった大きな企業の器の中で、さまざまな業務の流れを知ることは、確かに魅力的に見えます。カストディの部署で学んだことで、今、役立っていることはありますか?

【尾原】たくさんあります。ITの世界の言葉は、外国語みたいなものなので(笑)、海外の人とのコミュニケーションに近いものがあるかもしれません。データサイエンスも、プログラミングの世界の考え方を理解して、さまざまな分野の人に普通の言葉を用いて説明しなくてはなりません。粘り強く伝える努力を続け、相手に信用してもらうことが大切なのは同じです。

英語漬けだったのも役立っています。ITの世界は海外から入ってくる情報が多いので、英語ができると便利です。

【原田】確かに、今、尾原さんがデータサイエンスの部署でなさっている先端的な取り組みは、社内のさまざまな部署の人や、社外のいろいろな業界の人と協力しなくては進みません。海外の方とのコミュニケーションで粘り強さを鍛えられていますから、応用できますね。

【尾原】たくさんの人に興味、関心を持ってもらうのは大変です。絶えず、「この人が興味を持つポイントは何だろう?」「どう説明すれば分かってもらえるだろう?」と考えています。「何ができるの?」「いくらもうかるの?」という質問に対して、すぐには答えられないことも多いので、大きな絵を描き、共感してもらい、仲間に加わってもらうことが必要です。銀行の中でも、これほど社内外のいろいろな人と関われる横断的な仕事は他にありませんから、面白いです。