ビジネスシーンにおいて、「どんな態度と表情で話を聴くか」ということはとても大切です。研修・講演依頼があとをたたないスピーチコンサルタントの矢野香さんに、「話を聴くときの表情のつくり方」を教わります。

まずは自分の「素の顔」を知る

話すときは相手の目を見る、笑顔で話す、といったことはビジネススキルとして実践している方がほとんどでしょう。では、話を聴くときの表情はどうでしょうか。管理職になると、自分が話すよりも聴くほうが断然多くなるはずです。また、「私は会議に出ても発言しないから大丈夫」と思っている一般職女性でも、ずっと話を聴いているわけですから、どんな態度と表情で聴くかはとても大切です。

矢野 香さん

話を聴くときの基本は、話の内容(言語情報)に合わせた表情をすること。言語情報(バーバル)と非言語情報(ノンバーバル)に一貫性がなくてはなりません。いくら言葉で「いいですよ」と言っていても、不満タラタラの顔をしていては説得力がありませんね。そのようなミスマッチはビジネスでは信頼感を損ねるため避けたいものです。

残念ながら日本人の顔はベースが無表情なので、自分のニュートラルな表情、つまり「素の顔」を知っておくことをお勧めします。それは長年の蓄積で人それぞれ。素の顔が笑っている人もいれば、泣いたり怒ったりの人もいます。素の顔を知るには、知り合いに写真を撮ってもらうのがいちばん早い。メールしたり、スマホをいじったりしているときのボーッとした顔を不意打ちで撮ってもらうことができれば、リアルに自分の「素の顔」を見られます。

「嫌な状態」であることも多いでしょう。しかしそれが現実。鏡の中の自分は、無意識にベストの顔を見せているので、自分が知っている自分の表情は、自分の中で最高の表情なのです。他人が見ているあなたの顔はそれより劣るということです。