限られた時間で、いかにお金と真摯に向き合うか

プレジデントウーマンオンライン読者の皆さんは、さまざまな分野で真剣にビジネスに取り組んでおられると思います。そして真剣に生きている人ほど、時間に余裕がなく、忙しさに悩んでいるのではないでしょうか(私もその1人です)。老後の人生を考えたとき、将来に向けて長期投資を行うのは必要不可欠ですが、懸命に日々を生きている生活者にとって、長期投資に充てる時間がないのは仕方がないこと。しかし、忙しい人が限られた時間でもしっかりと実践できる手段が「投資信託」の活用なのです。

私はセゾン投信という投資信託会社の代表ですから、我田引水と受け取られるかもしれません。しかしそもそも私がこの会社を創業した理由は「生活者が誰でも容易に長期投資への参加を実現できる最も合理的な仕組みが『投資信託』である」という確信と思いにあるのです。

銘柄選択から資産配分に至るまで、すべて自力で長期投資を成功させようとすれば、プロ投資家と同等の知識や経験が必要になるでしょう。これはほとんどの人にとって苦痛であるだけでなく、物理的に不可能です。

そんな生活者の悩みを解決してくれるサービスツールとして、本来、「投資信託」という金融商品は存在しているのです。あえて“本来”としたのは、本来とは異なる邪道とも言える投機的ファンドも、日本の投資信託業界には氾濫しているからです。

次回からは読者の皆さんに真に役立つ、“真っ当な投資信託”の探し方を、一緒に学んでいきましょう。長期投資とはどのように行えばいいのか、そのアプローチを具体的にお伝えします。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社 代表取締役社長。1987年明治大学商学部卒業後、現在の株式会社クレディセゾン入社。セゾングループで投資顧問事業を立ち上げ、海外契約資産などの運用アドバイスを手がける。その後、株式会社クレディセゾン インベストメント事業部長を経て2006年に株式会社セゾン投信を設立、2007年4月より現職。米バンガード・グループとの提携を実現し、現在2本の長期投資型ファンドを設定、販売会社を介さず資産形成世代を中心に直接販売を行っている。セゾン文化財団理事。NPO法人元気な日本をつくる会理事。著書に『投資信託はこうして買いなさい』(ダイヤモンド社)、『預金バカ』(講談社)など。