「みんなのアイデア」から見えてくるもの

Googleはこれら5000件のアイデアから時短、育児、家事、残業、保育園など、よく用いられるキーワード600個を抽出し、どのような文脈で使われているのかといった傾向を分析した。さらに“誰ができるアクションか”という軸の両極に「男性」「企業・社会」、“何を変えられるか”という軸の両極に「働き方」「育児・家事」を置き、アイデアを4つのカテゴリーに分類した。

#HappyBackToWorkに寄せられたアイデアを、4つのカテゴリーに分類した。縦軸の“誰ができるアクションか”については、男性にアクションを起こして欲しいという傾向が見られた。横軸の “何を変えられるか”については、働き方の改革だけではなく、子育て中の社員に対して、その心理的・物理的不安を下げるために企業に何ができるかという観点からのアイデアが多数寄せられた。

Googleによると、1の「男性が働き方を変える」カテゴリーについては、「“働くママのために”というより、残業や長時間労働を当たり前とする職場の風土を変えるために、男性が自分たちの働く価値をどのように変えていけるかといった点について、アイデアが寄せられた」(Women Willプロジェクトリードの山本裕介氏)という。その中から「男性には、2週間の育休より1年間の定時あがりを」などのアイデアが紹介された。

2の「男性が育児家事を変える」カテゴリーでは、「育児家事は“手伝う”ものじゃない。“シェア”するもの」など、意識面でのアイデアが多かったという。3の「企業・社会が働き方を変える」カテゴリーでは、人事評価制度、勤務時間、在宅ワークなど勤務場所に関する具体的なアイデアが上がった。そして、4の「企業・社会が育児家事を変える」カテゴリーでは、「多様なニーズがあり、それに応えるアイデアが寄せられた」(山本氏)。例えば、子供の預け先については、子連れ出勤をOKにする、社内託児所の設置が難しい場合はビルや区画でシェアするなど、複数のアイデアが寄せられた。

#HappyBackToWork WEEKSでは期間中、サポーター企業52社がこれらのアイデアを元にした取り組みやサービスを展開する。

就業時間のスライドでフルタイム復帰を支援

人事評価や勤務時間などさまざまな変化に取り組む企業も多い。Women Willにサポーター企業として参加するNTTドコモでは、就業時間をずらす「スライド制度」を導入することで、育児のために短時間勤務中の女性がフルタイム勤務に戻る数を大幅に増やすことに成功したという。

同社の通常勤務は9時半から18時まで。これまでは「それでは保育園のお迎えに間に合わない」という理由で短時間勤務を選んできた人が多かった。そこで始業、就業の時刻を個人単位で繰り上げ、繰り下げすることでフルタイム勤務が可能になるかもしれないと考え、勤務時間をスライドできるようにした。NTTドコモが2006年に発足させたダイバーシティ推進室で主査を務める室住篤子氏は、「これまで短時間勤務の社員に対しさまざまな対策を講じてきたが、フルタイム勤務に戻る社員はわずかで、結果が出なかった。だがスライドワークの導入により、例えば8時から16時半というように前倒して勤務ができるようになり、フルタイムに戻る短時間勤務者は100人以上に増えた」と報告する。スライドワークは現在、男性社員も含めて約200人が現在使っており、「女性活躍を支援するにあたって女性を支援するだけでは不十分。男性社員や幹部向けも重要だ」と続けた。

#HappyBackToWorkに参加する理由もそこにあるという。