入園の難易度なかなか改善せず

認可の保育に入園申込をした児童のうち入園決定をした児童の割合を入園決定率と呼んでいます(合格率のようなもの)。調査した100市区の2015年4月での入園決定率の平均は74.3%(首都圏・政令指定都市の有効回答71市区分)でしたが、23区の平均は63.9%(有効回答19区分)と10%低く、厳しい状況が浮き彫りになっています。

世田谷区と杉並区は、認可保育園利用児童の増加数で3位と5位で旺盛な整備をした区ですが、入園決定率は下から4位と2位で低迷しており、ニーズ増加の激しさがわかります。

全体に、思わず「23区脱出……」とつぶやいてしまう状況です。

園庭をつくっているか

かつて認可保育園は園庭のあるのが一般的でしたが、待機児童対策が急務となった今、都心部においてはそれが通用しなくなっています。

認可保育園の園庭保有率を聞いた質問では、23区以外の市区も含めた有効回答85市区の平均が80.3%だったのに対し、23区の平均は63.2%と低迷しました。そして、注目されるのは、認可保育園の利用児童数の増加率が高かった上位4区(港区、千代田区、中央区、文京区)はいずれも園庭保有率が20~30%台と、きわめて低くなっていることです。

園庭をつくらなかったから、これだけの急整備ができたとも言えますが、これらの地域では、認可保育園に入れても園庭がない場合が多いということです。

子どもの心身の発達(教育)にとって、戸外遊びは習い事などよりもはるかに基本的で重要なものなので、特に3歳以上児にはできるだけ専有園庭という形で保障されることが望まれます(幼稚園には100%園庭があります)。

都心部に園庭など無理という見解がまかり通っていますが、大人向けの場所には広々としたアメニティ空間が整備されていますので、その中に子どもが育つ場所を確保しようとする知恵(民間への誘導策も含め)がもっと必要ではないかと思われます。