【原田】今では「外注ではなくすべて自社で」が強みになっていますね。

【清水】理想とする形を追求した結果です。代表の前澤も言っていますが、人と同じことをやると競争が生まれてしまいます。ネット通販は成熟市場で、仕組み面での差がだんだんとなくなりコモディティ化しています。私たちはそこに陥らず、差別化ができていると思います。

【原田】従来、洋服は試着してから買うものだったのが、ネット通販の場合は買ってから試着ということになります。企業との間に、相当の信頼関係がないとうまくいきません。そう考えると、他の商品とは違った形のCRMが求められるのかもしれませんね。

【清水】だからこそのCFMです。私たちはZOZOTOWNの購入体験で、お客様に悲しい思いをしてほしくないと強く思っています。すべての商品を自分たちで検品、採寸し、サイトに表示しているのもそのためです。撮影スタジオやカメラマンも多数抱えていて、1アイテムにつき相当数の写真を掲載します。洋服を着る人の気持ちになって、お客様が見たいと思うカットの写真を撮っています。

人から助けを求められる分野を仕事に

【原田】清水さんはずっとマーケティングやCRMをご専門に仕事をされているんですか?

【清水】そうですね。マーケティングを中心にキャリアを積んできましたが、途中兼任で経営企画やコンサル、営業系の仕事もしています。

35歳くらいで気付いたんですが、どんな仕事も、本当に好きでやっている人にはかなわないんです。根性だけ、体力だけで頑張っても追いつかない。だったら、自分が本当に好きな仕事、興味・関心があること、得意なことをやった方がいい。好きなことだからこそ突き詰められる、頑張れる。そこまでやるかというレベルまでやって初めて人とは違うレベルにいけるような気がしますし、バリューになるんじゃないでしょうか。

ただ、自分が得意だと思っているだけでは意味がありません。人から評価される分野、助けを求められる分野は何か、を考える必要がある。私の場合はそれがCRMでした。最初はそれに抵抗感がありました。でも、人から求められるのがこの分野なので、それに素直になろうと思ったんです。

自分が好きなことと得意なことが組み合わさると、自然に縁や出会い、ツキが回ってくるように思います。生き生きしながら仕事をしていると、何か出るんでしょうね。「なんかあいつ、楽しそうだな」「会ってみたいな」と思ってもらえるんじゃないでしょうか。