●フレッシュな卵子をつくることも可能に?

最後に、究極の話をしておきます。まったくフレッシュな卵子を作ることも可能になりつつあるのです。卵巣の中には、原始卵胞になる前の「卵原幹細胞」が存在するといわれてきました。それがどうやら見つかりつつあるようです。こちらもハーバード大などから情報が寄せられています。ちなみに、幹細胞は、細胞の劣化を起こさず「0歳のまま」であり続ける性質があります。もし、この手法が確立されると、それこそ、フレッシュな卵子が何歳でも作れることになるのです。

科学は私たちの想像を超えるスピードで進化し、過去の常識を変えてきました。だから、子どもが欲しい女性が悩まずにすむ日も、近い将来訪れる可能性は高いでしょう。ただし、妊娠と出産に関する技術は、生命倫理=神の領域に足を踏み入れるために、ことは慎重に進めねばなりません。

歴史を振り返れば、ピル、人工中絶、出生前診断や体外受精、人工授精。みな、慎重に議論を重ねてルールが作られ、今では普通に、そうした技術と私たちは付き合っています。30年でここまで来たのです。これから先も、着実に進歩を続けるでしょう。

世間では「子どもは早いうちに」といいます。それは間違いではありません。ただ、その風潮が強すぎて、今の女性は窮屈な生き方をしています。

男性とめぐり合う機会などなく30歳になってしまう女性は少なくありません。30歳を過ぎて不幸な別れをしてしまうこともあるでしょう。そうして独身で35歳を迎えた女性の多くは、心のどこかに「不安」や「焦り」、「自責」の気持ちを抱えているのではないでしょうか。これでは人生で一番大切な30代が、とても重苦しくなってしまいます。だから彼女たちに伝えたいのです。

世にいわれるほど、40歳って可能性がないわけじゃありません。そして、近い将来そのチャンスはもっともっと広がります。だからみなさん、30代を、上を向いて歩いてください。

イラスト=Takayo Akiyama