プレイヤーとマネージャーは求められるものが違う

昇進の打診があって以来、自分自身の上司から折に触れて「あなたには、こういうことを期待しています」というアプローチがあったはずです。さまざまなレイヤーの上司からいろいろなことを言われると混乱しがちですが、それでもその言葉の多くは、あなたへの「組織(厳密にいうと組織を構成する個人なのですが、ここではその構造には触れないでおきます)からの期待」です。そしてそれはあなただけに期待されているのではなく、新しい若手女性管理職として一歩を踏み出すあなたが抱える、部下たちへの期待でもあるのです。

プレイヤーとして働いている間は、自分らしい働き方、自分らしい仕事の進め方、自分が成果を出せばいい、という感じで、自分のことだけを考えていれば済みました。自分が頑張ればなんとかなりました。

しかし、これからそうは言っていられません。自分以外の人(部下)に対する組織からの期待も、マネージャーは自分ごととしてとらえる必要があります。しかし、これが意外に難しい。なぜなら、部下の一人一人が、仕事に対するモチベーションや、組織に対する忠誠心が異なるからという、考えてみれば当たり前の理由が立ちはだかっているのです。

チームの人たちはそれぞれ、仕事へのモチベーションも組織への忠誠心も異なります。

あなたが上司になるための教育は、ずっと前から行われていた

そこで、多くの新人管理職は部下と接点を数多く持ち、相手の仕事に対するモチベーションや、組織へのロイヤルティーを探ろうとします。皆さんにも記憶があるはずです。新たに着任してきた上司が面談と称して、ランチや夜の食事に誘ってきて、いろいろと話をする機会を持ちたがっていたことを。

そのシーンを思い出してみてください。自分は上司にきちんと思いを伝えられたのか、また、伝えた思いは受け止められて、その後の仕事に反映されたのか。振り返ってみれば、あなたが上司と接点を持った瞬間は、今、上司になったあなたにとって必要な教育だったのです。