経験がなければ下手なのは当然

【本田健さんの回答】

人に頼るのは、自転車に乗るのと同じように、ある種の技術とも言えます。小さい頃からごく自然にできる人もいれば、何度も練習しないとできない人もいます。

例えば、兄弟姉妹が多い人は、人に頼むのが上手です。なぜなら、すぐ隣に誰かがいるので、「それ持って行ってくれる?」とか「新聞持ってきて」とお願いすることがごく日常で起きます。でも一人っ子の場合は、人に頼まれるのも、頼むのも慣れていないことが多いです。家庭にもよると思いますが、もしあなたの家族がそれほど親密に付き合うタイプでなければ、人に「頼むこと」「頼まれること」があまり無かったかもしれません。

体育会系の部活にでも入っていれば、頼む、頼まれるということはたくさん体験します。そういうこともなければ、大人になるまで、貸し借りの多い人間関係を持たないままになります。

小さい頃に自転車に乗っていない人は、大人になっていきなり乗ろうとしても難しいでしょう。逆に、小さい頃から乗っている人は、何年か乗っていなくても、すっと乗れると思います。あなたが、人に何かを頼むのが苦手だとしても、自転車に乗るのと同じと考えて、練習してみましょう。間違いなく最初の何十回はこけるはずです。でも、100回もやれば、上手に乗れるようになるでしょう。

たくさん、小さな頼み事をしてください。そして、いろんな頼まれ事を引き受けましょう。そのやりとりが多いほど、練習になります。そして、きっと気付いた頃には、自然に人に頼まれたり、頼んだりすることができるようになっているはずです。

男性回答者プロフィール:本田健(ほんだ・けん)
作家。神戸生まれ。経営コンサルタント、投資家を経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。4年の育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は2200万ダウンロードを記録。
代表作『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房刊)など、これまでに著書は100冊以上、累計発行部数は680万部を突破。
【本田 健 公式サイト】http://www.aiueoffice.com/

文=本田健、河崎環 イラスト=伊野孝行