親の愛を信じ、大人の女性としての選択を

私は、結婚相手に望む条件が親と自分とで乖離(かいり)している場合にとるべき3箇条を伝授した。

1.親から経済的に自立をすること
サナエさんは実家暮らしだが、家にお金を入れていなかった。これでは親から子供扱いされても文句は言えない。最低でも、ワンルームの家賃の80%くらいの金額を家に入れることを勧めた。実家暮らしの恩恵の対価を払ってこそ、初めて自立していると言える。それが嫌ならば一人暮らしをすること。

2.親の愛情を信じるからこそ、親に対して少しだけ無責任になること
「親が祝福してくれない結婚はしたくない」と思い込み、親の意向通りに婚活をする人の多くがうまくいかない。それは、自分の好みでもない相手を探すのと同じだからだ。最低限の生活力があって、娘が愛している男性ならば結婚を祝福しようというのが親心だ。親の意向ではなく、自分の意思で婚活をしよう。

3.男性に「私の親の意向通りになれ」と強要しないこと。男性を両親の反対から守る覚悟で
絶対に言ってはならないのは、「あなたがこんなふうだから、親に反対される」という一言。まさに、サナエさんが失敗したパターンだ。これは男性のメンツを潰し、愛を冷めさせる大きな原因になる。むしろ、覚悟を決めて「私があなたを両親の反対から守る」という姿勢を取り、親ではなく彼の味方になると、2人の信頼関係はびっくりするほど強くなる。

1年後、サナエさんの結婚式に招待された。お相手は中堅企業勤務の45歳、年収500万円の男性。親の意向とは違う相手だ。しかし、花嫁から両親への手紙の朗読後、親子3人で涙ながらに抱き合っている姿がそこにあった。

「親は何があっても子供の幸せを願っている」、その1点さえ信頼できれば、親のプレッシャーから解放される。婚活では、親思いでまじめな女性ほど、相手選びの段階で身動きが取れなくなってしまうことが多い。そんな人はぜひ3箇条を、今日から実践してほしい。

大西明美
婚活アドバイザー。結婚相談所を経営。1977年大阪府生まれ。東京都文京区在住。過去20年で延べ4万3000件の恋愛を研究してきた婚活指導の第一人者。小中学校ではイジメを受け友達がいなかったため、周囲の人間関係を観察することを目的にして登校を続ける。特に恋愛に注目してコミュニケーションを学ぶ。高校生のとき、初めてできた友人に恋愛相談を持ちかけられ、日頃鍛えた人間観察眼を生かしたアドバイスを行い、無事に解決。それをきっかけに恋愛相談が立て続けに舞い込むようになる。婚活指導を通して、5年間で200組以上のカップルを成婚へと導いている。
著書に『となりの婚活女子は、今日も迷走中』(かんき出版)がある。