長期投資で現金をインフレに打ち勝つ資産に置き換える

マイナス金利が始まった今、少なからぬお金持ちの人達が、自分の預金を解約して金庫にしまう、あるいはツボに入れて庭に埋めるといった行動に出ているようです。この先、銀行預金もマイナス金利になれば、自分が預けた金に利息を払う羽目になる。そうなることを恐れてお金を避難させているつもりなのでしょう。しかしマイナス金利時代とは「預金バカ」のレベルを遥かに超え、「お金をお金のままにしていたら、増えないどころかどんどん腐っていく」ことを意味します。金庫やツボにしまい込んだ現金は、腐蝕が進み、ゼロ金利より遥かに強烈に目減りしていくことになる。こうした人達は最もやってはいけない行動をとっているわけです。

お金が腐るマイナス金利時代が到来した今、資産防衛のためには、もう現金をインフレに打ち勝つ資産にリプレイスするしか手段はありません。そこで、これまで学んできた長期投資の出番です。インフレ経済の中で、インフレを克服し拡大していく経済活動にお金を働きに出すことの合理性と必然性を、今回改めて皆さんにしみじみと噛みしめていただきたいのです。そう、大変な時代が始まりました!

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社 代表取締役社長。1987年明治大学商学部卒業後、現在の株式会社クレディセゾン入社。セゾングループで投資顧問事業を立ち上げ、海外契約資産などの運用アドバイスを手がける。その後、株式会社クレディセゾン インベストメント事業部長を経て2006年に株式会社セゾン投信を設立、2007年4月より現職。米バンガード・グループとの提携を実現し、現在2本の長期投資型ファンドを設定、販売会社を介さず資産形成世代を中心に直接販売を行っている。セゾン文化財団理事。NPO法人元気な日本をつくる会理事。著書に『投資信託はこうして買いなさい』(ダイヤモンド社)、『預金バカ』(講談社)など。