CASE.3:乗っかってから考えるタイプ。母になり、企業に勤めるだけではないいろいろな道が見えてきた
●渡辺恭代さん(44歳)

農学部卒のリケジョ。最初は建材関係の専門商社に入社。商社勤務になったので経営を学ぼうと思い大学院に通った。

渡辺恭代さん

3年後にコンサルティング会社に転職、人材教育部門で人事関係の仕事を始める。その後システム関係の仕事に進み、組織開発の初歩を経験。のちに人事業務に特化した大手コンサルティング会社に転職。人事制度の設計などに従事する。やりがいはあったが13時間労働もざらで超ハードワーク。子育てとの両立は不可能と、妊娠を機に退職。そこからきっかり4年間は専業主婦。2人の子どもの世話をしつつ、社労士の資格を取得する。

その後前職の上司に誘われ個人経営のコンサルティング会社に入社し、人事制度設計や組織開発などを担当。数年後ハイスキルママのための人材エージェント「Waris」に登録。現職の企業に人事スタッフとして紹介され、契約社員で週4日5時間労働という時短で仕事を続けている。実は、地元の学童保育業務を請け負うNPOを運営していて、時短は社会活動と両立するための条件だった。子育てが一段落する5年後に向け、企業人事に軸足を置くキャリアに戻るか、地方自治の仕事に挑戦もありか、と模索中。

CASE.4:それぞれの職場に感謝しつつ、よりやりがいのある働き方を求めて
●福士恵子さん(43歳/仮名)

現在、インテリアデザイナーとして大手建設会社で派遣社員として働く福士さん。

福士恵子さん(仮名)

転職は4回目。新卒で入社したのは大手ハウスメーカー。ここで出会った先輩は今でも見守ってくれているメンターだそう。もっとデザインを学びたいと退職し、海外へ留学。3年間の海外生活中は、現地の建築プロジェクトにも参加。給料は家賃程度と超低賃金でも充足感にあふれていたが、貯金が底をつき帰国。正社員での就職先を探しつつも派遣会社に登録。紹介された都市計画分野の会社でデザインに携わった。仕事の新鮮さは感じていたものの、派遣では「どんなにがんばっても成果がない」と、転職。大手不動産系インテリア会社に契約社員で入社。2年後にさらに転職し、中堅の建設会社に正社員として再就職を果たす。が、ここでは人間関係に悩まされ、7年でやむなく退社。半年の充電期間を経て、現在の職場に派遣で就職。

「どの職場でも仕事にはすごくやりがいを感じました。転職ごとにステップアップも実感。ただ、やはり派遣と正社員ではあらゆる面で違う。再度、正社員として総合的に仕事を回したい」と、正社員への道に意欲を燃やしている。

撮影=田子芙蓉