遺言の草案作りの流れ

司法書士はご夫婦のさまざまな相談に乗りながら死後の希望を聞き、全財産を洗い出し、老人ホームのある地域の公証役場の公証人に遺言の作成を依頼しました。遺言に記す財産によって遺言作成の手数料が異なるので、公証人に財産を証明するもの(通帳のコピーなど)を提出する必要があります。不動産なら登記簿の提出も必要です。今回の遺言は「全財産を3/5、1/5、1/5に分ける」と記しますが、○○銀行の○○口座は配偶者、○○銀行の○○口座は長男、○○銀行の○○口座は次男と記すこともできます。また、全財産ではなく「この人にいくら残したい」と記す方法もあります。口座名の相続なら、生前に自分で割合を変えられるので、それはいい方法だなぁと思いました。

その後、司法書士は公証人にご夫婦の遺言の内容を伝え、メールでのやりとりで公証人に「公証証書遺言」の草案を作ってもらいました。一字一句間違いがあっては遺言として不備となり、法的な書類として認められないので、ここは慎重な作業です。

遺言があっても、ご夫婦共にご高齢なので、その時が来たらこの遺言をつつがなく執行してくれる人も必要です。特に次男は書類の整理やさまざまな手続きが困難なので、ご夫婦の気がかりです。遺言には「遺言執行人」として司法書士の名前が記され、その場合の手数料として、相続財産の2.5%を手数料として司法書士がもらう、それが30万円以下なら30万円をもらうということも記しました。これで、確実に遺言が執行されるでしょう。

また、この遺言には2人の証人(司法書士と私)の住所、名前、職業が記され、証人の一人である私は、先に司法書士経由で住民票を公証人に提出しました。