何か仕事を進めるとき、前提や感覚が共有できていて、ツーカーで通じる組織は話が早い。逆にそれができないと「あの人はカルチャーが違う」と言うことがあります。しかし本来それは特殊な事情だったのではないでしょうか。自分の“当たり前”は相手の“当たり前”と同じとは限らない、それがダイバーシティということだからです。

企業の人材採用の現場に身を置いていると、割とよく耳にする言葉の中に「カルチャー」という単語があります。ごく一般的な単語ですが、人事採用の世界では例えば、こんなふうに使われます。

「いくら優秀でも、カルチャーギャップがある人は、採用しても結局機能しないから、避けておきたい」
「結局、パフォーマンスを出す人は、カルチャーフィットの高い人ばかり。逆はあまりないのです」
「大事にしたいのはカルチャーであって、単にやりたい仕事であるとか、給料が高いということだけではない」

……などなど。「それって企業文化とか職場風土ってことじゃないのか」という声が聞こえてきそうです。ほぼその通りだと私も思いますが、「ほぼ」と書いた通り、完全に一致しているわけではありません。

「職場風土」「企業文化」と「カルチャー」はちょっと違う

これはあくまで私の解釈ですが、「職場風土」とは、職場のハードウェア的な部分、ソフトウェア的な部分、両方を包含しているイメージです。一方で「カルチャー」は、もっとソフトウェア的な部分を中心にして「その企業にとっての“当たり前”」を表現している、そんな気がしています。

また「企業文化」という言葉と比べると、企業文化は、その企業の制度や明文化されたものを指す言葉であるのに対し、「カルチャー」はもう少し曖昧なものかもしれない、という感じでしょうか。。