「失敗する場」を自ら作る

原田博植(はらだ・ひろうえ)さん。株式会社リクルートライフスタイル ネットビジネス本部 アナリスト。人材事業、販促事業、EC事業にてデータベース改良とアルゴリズム開発を歴任。2015年データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー受賞。

【原田】とはいえ仕事である以上、先を読むこと、安定した堅実なところを狙うことを求められます。

【谷口】ですから私は、本業に害のない範囲で、個人活動をする方がいいと思っています。今なんて、ネットがあるので個人で情報発信をするのは簡単ですし。

【原田】ただでさえお忙しいのに、どんな理由で個人活動されているのですか?

【谷口】失敗する場が欲しいからです。会社では失敗ばかりしていられません。毎回実験的なことはしにくい。でも、個人であれば、いくら失敗してもいいですよね。そこでいろいろ試してみて、当たったものを仕事に生かす。特にネットはユーザーの反応が大切なので、私個人のブログなどで試してみて、人の反応を見るということをよくやります。この間は、「仏像をテーマにしたコスプレ」ってどうかなと思って、「グラビア仏像」というのをやってみました。でも、全然ウケなくて、見事にスルーされました。「つまらない」というようなコメントがたくさん入ってきて……、鍛えられますよ。

よく「どうやったら“当たる”アイデアを出せるんですか?」と聞かれたりしますが、近くにいる人は私のことを、「それだけスベってれば、1つくらいは当たるものも出るよね」と言っています。ネットのコンテンツの最大の参入障壁って「恥」だと思うんですよ。スベり慣れてないとやっていけないです。

【原田】「失敗する場」とか「スベり慣れる」とおっしゃいましたが、そもそもそれだけたくさんのアイデアを形にしてきているということですよね。具体的にはどのような方法をとられているんでしょうか?

【谷口】企画を考えるためのLINEグループを持っていて、そこでアイデア出しを行っています。LINEグループでブレストをするのはお勧めです。時間や場所の制限なく会議ができますから。今、メンバーが20人ほどいるんですが、このグループにテーマを投げると、どんどんアイデアが返ってくるようになっています。いいアイデアに対しては謝礼を出しています。

サラリーマン一人ひとりの能力ってそんなに変わらないと思うんですよ。結局、ネットワークが肝になってきます。私の場合は、アイデアを出し合えるグループ、ネットワークを持っているのが強みです。