女性活躍推進法がこの4月に導入されます。企業の女性活用を後押しするこの法の導入で、私たちにも強い追い風が吹いているのでしょうか? 女性活躍担当である加藤勝信大臣から、熱いメッセージが届きました。

女性の夢実現のため、政府が土台を整えます!

女性活躍推進法の一番の特徴は、「女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供と、女性の活躍」と主体が「女性」であることです。まず国が基本方針の策定と義務づけ、そのうえで女性活躍の数値の情報開示を義務づけ、つまり「見える化」を意識していることも特徴ですね。企業にはできるだけ数字を出してもらいたい。少なくとも基本の指標の中から1つとしていますが、これも実は「ゼロか1か」のせめぎ合いがありました。あえて義務化したのは「A社は3つでうちは1つか」となれば、おのずと多くを公表するほうに進んでいくことを期待したからです。

加藤勝信大臣

女性が活躍することは、社会にとっても、企業にとってもプラスですし、どの指標をみても、女性が経営陣にいる企業のほうが、世界の市場でのパフォーマンスがいい。日本はまだ国際社会では女性の活躍が進んでいる状況とはいえません。方向転換するためにはかなりの力がいるので、女活法はその動きを推し進めるきっかけとなるでしょう。一度動き始めると日本の企業は早いですから、どんどん進むのではないかと思っています。日本は「女性活躍を推進する」姿勢を明確にしていることで国際的にも注目されています。当然それをしっかりと実行していく仕組みをつくらなければいけません。

まず隗(かい)より始めよということで、今、各省庁の女性の採用が平均3割となっています。環境の変化を待つのではなく、まず採用する。子育て中の女性が1人なら「配慮」で対応できましたが、3割ともなると全体の働き方も変化せざるをえない。長い間やっていることを変えるのは苦痛ですが、それを乗り越える必然性ができれば変わっていく。まずは「やってみなはれ」ということです。

生産年齢人口(15歳~64歳)が1995年から減少に転じている中でも、ただ就業する人が増えればいいのではなく、個々の人がどれだけ希望を叶えて活躍していけるかが大事。

イラスト=カトウミナエ

あるパーティで入社1年目の女性が「最初は腰掛けと思っていましたが、これだけ期待されている今は役職を目指していきたい」と話してくれました。今ある希望や夢の実現も大事ですが、状況が変わってきたら、希望はもっと膨らんだり、違った展開になるんです。潜在的にある夢や希望の実現に、それぞれが取り組めるよう、私たちがしっかり環境をつくっていきます。

両立が難しくて退職したり、キャリアアップをあきらめたり、復職できなかったり、子育てか仕事かを選ばざるをえない状況に今、女性は直面しています。まずは女性が直面しているその状況を変えていくことからです。

女性活躍はスタートして山を越えても、また山があるのですが、一つ一つ着実に、スピード感を持って越えていく。だから女性たちには、より大きな、新たな希望や夢を持ってもらいたいと思います。

加藤勝信
1955年生まれ。東京大学卒業。79年大蔵省入省。2003年衆議院議員初当選後、15年10月の第3次安倍改造内閣において、国務大臣に任命される。女性活躍担当以外にも一億総活躍、再チャレンジ、内閣府特命(少子化対策・男女共同参画)などの担当にも就任。娘4人の父親でもある。趣味は読書。

撮影=邑口京一郎 イラスト=カトウミナエ