提言:高齢な男性が占める政治行政に任せっぱなしではダメ!

●内閣官房 地域活性化伝道師 木下斉さんから

地方創生では、守りと攻めの2つのことが求められます。

一つは、人口は減るものだという前提をもとに、どう社会運営を続けるのか、という守り側の堅実な議論です。しかしながら一部の自治体では、従来どおりの自治体の規模・運営を抜本的に変えることなく、東京などからの移住優遇政策を行うことで人口増を目指したり、高齢者住宅の開発を進めています。

経営の基本は、限りある資源でゴーイング・コンサーンを目指すことにあります。集められない資金、手元にいない人材をアテにして事業計画を組み立てては、事業は破綻します。

地方創生で求められるのは、国の予算を使い一発逆転を目指す計画ではなく、人口が減っても一定の生産力と税収を確保し、破綻しない堅実な自治体経営計画です。人口増の効果で自治体破綻を回避しようというような無理な計画になっている地域を今からでも軌道修正することが求められています。

もう一つは、減少が決まっているわけですから、手元にある資源を無駄なくフル活用し、その収入で経営を成立させる社会への変化を促す攻めの行動です。

たとえばいまだ一部に根強く残る男女の労働分業構造、若者を下に取り扱う年功序列的な地域社会構造、子育てを家庭責任とする社会保障構造、限りある人材資源等が無駄に使われる仕組みが多数あります。これらを変えるための政策を地域ごとに考え、実行する必要があります。

しかし、高齢な男性が占める政治行政に任せ、制度変更を期待することは難しい。地方創生を役所の仕事だと考えず、女性、若者、経営人材自らが関心を持つ必要があります。政治行政に対しても積極的に提言をし、また自ら産業分野で新規事業の立ち上げなどで動くことが求められています。

撮影=的野弘路