「いつ」「どう動く」か?
5つのジェスチャーポイントを知る

自然にジェスチャーができる人はなかなかいません。「このタイミングでジェスチャーを入れる」というルールを自分の中で決めておくと、自然にジェスチャーを入れられるようになります。ここでは、ジェスチャーを入れやすい5つのポイントを紹介します。

(1)位置
1つ目は、位置です。例えば、投影されたスクリーンに対して、「向かって左側のグラフをご覧ください」と言いながら指し示します。その際には腕を伸ばし、上から振り下ろすようにして大きな動きで指し示しましょう。動きの大きさの範囲は、自分の存在感を感じさせる範囲でもあるからです。他のジェスチャーも同じように、胸から上の部分でできるだけ大きく動かしましょう。指し示す位置が遠い場合には、ゆったりと歩きながらその位置まで行って指すとより注目が集まります。

(2)数、数値
2つ目は数が出てきた時です。例えば「3つの特徴があります」とか、「5倍に成長しました」。数を指で表すのはとても自然に取り入れやすいでしょう。その時も胸から上、顔の横か頭の上くらいまで手を上げましょう。

(3)傾向や動き
3つ目は、グラフなどの傾向を表したり、現象の動きの説明が出てきた時です。例えば、「売り上げは急激な右肩上がりに伸びました」という説明とともに右上に向けて手を動かしたり、肘を曲げ腕の角度で上がっている様子を示すとよいでしょう。他にも「市場は半分の規模に縮小しました」という説明で、手と手の幅を半分に近づけるなど、形容詞や副詞を表現する動きなどは、やりやすいのではないでしょうか。

(4)キーワード
4つ目は、覚えてほしいキーワードを強調するジェスチャーです。本連載の「間(ま)」の回でもご紹介しましたが、滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」のように、キーワードを紹介する場面で、手や指でアクセントをつけるように動かすという動きです。

(5)思い
女性的なジェスチャーとしては、「非常に残念に思っています」と言いながら、手のひらを胸に当てる、男性的なジェスチャーとしては、「全力で支援します。私たちを信頼してください」と言いながら、拳を握るという動きなどがあります。

このように“こんな言葉”が出てきたら、“こういうジェスチャー”をするという組み合わせを覚えておくと、動きを入れやすくなります。ただし、全てにジェスチャーをつけすぎると、せわしないノイズになってしまいますので、「ここぞ」という本当に強調したい時や、説明が単調で聞き手の集中力が途切れてきたような時など、シーンを選んで使うとよいでしょう。