成功体験の再現性を高めるために

では、こうした質問は具体的にはどういった場面で使っていけばよいのでしょうか。前回の連載第11回「袋小路で悩めるメンバーを救う『ミラクル・クエスチョン』とは?」(http://woman.president.jp/articles/-/995)で取り上げたAさんを例に考えてみましょう。取引先であるX社とのやり取りがうまくいっていなかったAさんですが、仮にやり取りがうまくいき、受注に至ったとしたら、どのように振り返りができるのでしょうか。

リーダー:今回はX社との取引、お疲れさま。早速だけど簡単に振り返りをしてみよう。
Aさん:はい。
リーダー:まず、今回の取引について簡単に報告してくれるかな?【What】
Aさん:はい、以前報告したように私から何度もX社に訪問し、いろいろと指摘や質問を受けていました。時間はかかりましたが受注に至りました。
リーダー:それじゃあ、今回受注に至った要因は何だと思う?【What】
Aさん:やはり、何度も訪問する中で先方と信頼関係が築けたのが良かったのだと思います。途中からは先方からの指摘や質問の背景についても、ざっくばらんに聞けるようになりましたし、社内の都合なども積極的に教えてくれるようになりました。
リーダー:なるほど、相手との信頼関係がキーになったんだね。Aさんは今回の件からどんなことを学んだと思う?【So What】
Aさん:はい、相手の要望に真摯に答えることが信頼関係を築く一歩になると改めて思いました。もし面倒に思って手を抜いていたら、受注できなかったのではと思います。
リーダー:今回の件を振り返って、次回以降に生かしていきたいことは何かある? もっと良くできそうな部分は何かある? 具体的にどんなことができそうだろうか? 【Now What】
Aさん:そうですね……次に新規の顧客との関係づくりをするときには、もう少し短い期間で信頼を得られるようにしたいです。今回は時間がかかり過ぎましたので。具体的には、相手の話を聞く際に、その背景についても併せて聞けたら良いと思います。

ここではリーダーはAさんに対して3つの質問で段階的に振り返りを促しています。まずは受注に至ったという状況を共有し、次にそこからの学びを、そして最後には今後の行動について質問しました。このように振り返りを段階的に行うことで、1度の成功の再現性を高められるようになるのです。