Case.3:手作りチョコを渡して「海老で鯛を釣る」

次は伝統的な日本企業ということで、ある不動産会社に勤める女性に聞いてみました。

「本社ではなく営業所にいたときは、男性ばかりで女性は私と受付の子(派遣)くらい。バレンタインデーが近づくと『誰かにチョコあげるの?』と集中攻撃を受けたのを覚えています(笑)。普段厳しいおじさま方が2月14日を前にソワソワしているのが面白かったですね。

直属の女性部下は私だけなので、面倒だけどあげないわけにはいかないかな……と、毎年営業所内の男性全員に手作りチョコを渡していました。お返しは他の女性がいないぶん、豪華なものをたくさんもらえました(笑)。手作りだったので経費もさほどかからなくて、男性ばかりの職場も悪くないなと思いましたね」(28歳/不動産)

創業数十年に及ぶ、大手不動産会社に勤める彼女は手作り派。彼女の同期で同じような状況にある女性も、手作りしたものを配っていたそうです。ベンチャー企業に勤める女性たちに聞いた話では、Case.1や2で紹介した以外の意見の中にも手作り派はいませんでした。手作りチョコはある意味昔の文化なのかもしれませんが、古き良き企業には今もその伝統が残っているようです。

Case.4:男性陣+40代以上の女性にチョコを渡すのが恒例

「男女の割合は同程度で、様々な年代の女性がいるため、バレンタインはささやかにやっています。社内は1グループ4~8人で、私のグループは男性4人・女性4人で、女性の内訳はAさん(50代)、Bさん(40代)、私と後輩(20代)の4人。私と後輩とでお金を出し合って、男性4人+50代女性+40代女性の6人に、チョコを用意しました。40~50代女性はバレンタインの計画に巻き込まないようにしようという雰囲気があるんです。

グループ内が年上の人ばかりで、一緒にバレンタインの準備をできる後輩がいなかった年は、グループの上の単位の『課』の方全員(約40人)に、プチバレンタインギフトをあげました。執務スペースにある棚の上に、別のグループの女性たち(30代)と協力して、かわいい缶に、スーパーで買えるお菓子を詰め合わせて『皆様どうぞ!』とメッセージカードを貼って置いていました」(29歳/公務員)

ちなみに彼女は「課やグループの雰囲気を察して渡せるときは渡しますが、そういう雰囲気ではない場合は、何もしませんでした」と語っていました。どちらかというと「堅い職場」であるだけに、気を遣う面も大きいようです。また、40代以上の女性陣にも渡す、といった形で年代に応じて「ある種のライン」が引かれているのは興味深いです。

ベンチャーも伝統的な職場も「男性全員にチョコを渡す」原則はありますが、オーダーメイドでチョコを作ったり、男性がスイーツを作ってきたりと、昔にはなかった取り組みを見られるのがベンチャーの特徴。対して、伝統的な職場ではやや保守的な印象がありました。皆さんの職場では今年、どんなバレンタインデーの取り組みを行う予定ですか?

池田園子
1986年生まれ。ライター、編集者。楽天、リアルワールドを経てフリーに。IT、マーケティングなどに関する記事が多め。
 

編集協力=プレスラボ