夏場の赤字を冬場で埋める!

有価証券報告書では年度の決算情報が開示されていますが、四半期ごとの売上高や純利益といった主な経営指標も参考程度に載っており、業績の季節変動を知るのに役立ちます。

ここで、四半期とは年を4等分した、3カ月の期間を差します。3月決算企業の場合、4月から6月までの3カ月間が第1四半期、7月から9月までが第2四半期、1月から12月までが第3四半期、1月から3月までが第4四半期となります。

四半期情報などは有価証券報告書の「第5【経理の状況】(3)その他」で開示されているのですが、それをもとに過去4期分の四半期ごとの売上高及び純利益のグラフを作成すると図のようになります。

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【上】モロゾフ 売上高の季節変動、【下】モロゾフ 純利益の季節変動

モロゾフは、通年でこそ1%台の当期純利益を出しているものの、毎年の傾向として売上の比較的少ない第2四半期(5~7月)と第3四半期(8~10月)の半年間は赤字だということが分かります。その赤字を売上の多い第1四半期(2~4月)と第4四半期(11~1月)がカバーしているのです。

赤字の原因は、売上が少ないからです。先ほど見てきたように、人件費や設備関連費といった固定費を含む販売管理費は通年の売上高の44%ほどかかります。売上が少ないとそれを賄えなくなってしまうのです。

売上の内訳について考えてみましょう。モロゾフの第4四半期の売上が最も多いのは、クリスマスケーキやお歳暮など、さらにはバレンタインチョコが1月下旬から売れ始めることによる影響だと考えられます。第1四半期の売上が多いのは、言うまでもなくバレンタインデーとホワイトデーがあるからでしょう。

また、全国菓子工業組合連合会(全菓連)によるWebサイト「お菓子何でも情報館」では、お菓子の種類別、月別支出金額に関する家計調査の結果がまとめられています。こちらを見ても、1年でもっともケーキが買われるのはダントツで12月、同様にチョコレートが買われるのは2月であることが分かります。業界によっては、売上の季節変動がこれほどまで大きいことがあり得るのです。