「やりたいこと」を今さら問われて戸惑わないために

そんな風にまとめてしまうと企業に悪気があるように思えてきますが、そんなことはありません。業務が高度化し、専門性が増すとともに、細分化が進むことは必然です。となると、それぞれの業務を横並びに評価することは難しくなりますし、向き不向きが著しくなることも否めない。その状況に対応するためには「やりたいと思う気持ち」と「本人の能力」を掛け合わせることで、パフォーマンスを最大限発揮してもらう仕組みを作る必要があったのです。このコラムの読者の皆さんは、その環境が生まれてきた要因を理解しつつ、自分がその中で「うまく立ち回る」方法は何か、しっかりと考え抜く必要があるのです。

「この歳になって?」と思うかもしれません。しかしまず「そういえば、自分のやりたいことってなんだっけ」と振り返り、整理する時間を持ってみることをお勧めします。そして、それを実現するための方法を考えてみてください。今の場所でできるのか、場所を変えないとダメなのか。そもそもそれは仕事で実現すべきことなのか、そうでなくてもいいのか……などなど、考える視点はたくさんあるはずです。

ある日突然、「あなたのやりたいことは何? この中から選んで」と会社から急に言われて戸惑わないためにも、備えあれば憂いなし。“こんな年齢”になってしまっているからこそあなたは「大人の考え」ができるはず。それを楽しみながら、「私がやりたいこと」を考えてみてほしいのです。

サカタカツミ/クリエイティブディレクター
就職や転職、若手社会人のキャリア開発などの各種サービスやウェブサイトのプロデュース、ディレクションを、数多く&幅広く手がけている。直近は、企業の人事が持つ様々なデータと個人のスキルデータを掛け合わせることにより、その組織が持つ特性や、求める人物像を可視化、最適な配置や育成が可能になるサービスを作っている。リクルートワークス研究所『「2025年の働く」予測』プロジェクトメンバー。著書に『就職のオキテ』『会社のオキテ』(以上、翔泳社)。「人が辞めない」という視点における寄稿記事や登壇も多数。